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MAC 症に対する漢方薬の効果
MAC 症に対する漢方薬の効果

【短 報】
細胞内 Mycobacterium avium complex に対する clarithromycin と rifampicin の 抗菌活性に及ぼす根湯,補中益気湯および十全大補湯の影響
佐藤 勝昌・清水 利朗・佐野 千晶・冨岡 治明* 島根大学医学部微生物・免疫学教室
(平成 16 年 7 月 5 日受付・平成 16 年 7 月 23 日受理)

Mycobacterium avium complex (MAC)は isoniazid, ethambutol,pyrazinamide や rifampicin(RFP)などの抗 結核薬に対する耐性度が高く,近年開発された clarithromycin (CAM),azithromycin や rifabutin などと他の抗結 核薬との多剤併用による化学療法は MAC 症にかなり有 効であるとはいえ,いまだ菌陰性化には至らない症例や 再燃を繰り返す症例が多く治療に難渋しているのが現状 である1〜4)。また,現在抗 MAC 活性を有する薬剤が種々 開発されつつあるものの,臨床試験に供されているもの はほとんどない5)。したがって,MAC 感染症に対するよ り有効な化学療法を考えるうえでは,当分の間は既存の 抗菌薬による治療効果を免疫調節剤などのadjunctive agent で増強させるような形での治療レジメンの開発に 期待せざるを得ないように思われる5,6)。 このような免疫補助剤の candidate の 1 つとして漢方 薬が挙げられるが,先にわれわれは rifalazil(RLZ)による マクロファージ(M φ )内 MAC 菌の殺菌作用は漢方製剤 である麻黄附子細辛湯との併用によって有意に増強され ること,また実験的マウス MAC 感染症に対する RLZ と 麻黄附子細辛湯との併用投与によって,麻黄附子細辛湯 は RLZ の治療効果を有意に増強させることを見いだし ている7)。他方,別の漢方薬のヨクイニンにはそうした活 性は認められていない8)。ところで,麻黄附子細辛湯の他 に,宿主免疫能を亢進させる薬効を有する漢方薬として は,根湯,補中益気湯あるいは十全大補湯などが知られており,このうち,根湯は急性熱性疾患に用いられ る代表的な漢方薬で,特にかぜ症候群の初期症状に有効 であるとされており,その有効性は宿主免疫能の亢進に 基づくものと考えられている9)。また,補中益気湯および 十全大補湯は互いに類似した生薬を含有しており,古く から病後・術後あるいは慢性疾患などで全身倦怠感が著 しく,顔色不良や食欲不振などの症状がある場合の虚弱 体質の改善に有効とされ10),近年では,これらの漢方薬 には,各種細菌,真菌あるいはウイルス感染に対する宿 主抵抗性増強作用11〜17),さらには抗腫瘍効果なども報告 され10,18,19),免疫調節剤としての機能が注目されている。 今回は,上述の麻黄附子細辛湯について行った検討の 対象を根湯,補中益気湯および十全大補湯にも拡げ, これらの漢方薬の M φ 内 MAC 菌に対する CAMRFP の 抗菌活性発現に及ぼす効果について検討した。併せて, 結核菌や MAC による肺感染時には,感染菌が最初に接 触する宿主細胞としては肺胞 M φ のみならず肺胞上皮 細胞も重要であると考えられるので20),II 型肺胞上皮細 胞にMAC 菌を感染させた系についても同様な検討を 行った。 肺 MAC 症患者よりの分離株である MAC N-444 株(M. avium と同定済み)を 7H9 培地中,37℃で5 日間培養 し,遠心・洗浄後に 1% 牛血清アルブミン(BSA)含有リ ン酸緩衝生理食塩液に浮遊させた。次いで,超音波処理 によって均等菌浮遊液とした後に−80℃ に保存した。用時にこの菌液を溶解し,再度の超音波処理後に実験に供 試した。 American Type Culture Collection より入手したTHP1 ヒトマクロファージ株(THP-1 M φ )と A-549 ヒトII 型肺胞上皮細胞株(A-549 細胞)を 10% 牛胎児血清(FBS) 加 RPMI 1640 培地中で培養したものを供した。細胞内生 菌数の計測は以下のように行ったが,本実験系で得られ た値は細胞内菌数を反映したものであることが確かめら れている21)。 すなわち,THP-1 M φ については2,000 unitsmL recombinant ヒト IFNγ (Bender MedSystems,米国),100 nM calcitriol(和光純薬)および 1 ngmL LPS(E. coli 0111:B4()Difco Laboratories)含有 10% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊させ,その 200 ? L (1×105 cellswell)を平底 96 ウエルへ加え, 5% CO2 下で 37℃, 2 日培養することに よって M φ へと分化させて供した。次いで,培養液を除 去した後に 2% FBS 加ハンクス氏液(HBSS)で細胞を洗 浄し,5% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊させた供試菌の100? L (2×106 CFUwell)を加えた。3 時間培養後に 2%FBS-HBSS で非感染菌を洗浄・除去し,各濃度の漢方薬 (ツムラ)あるいは CAM(2.3 ? gmL()アボットジャパ ン)と RFP(6.2 ? gmL)(和光純薬)を含有する 5% FBSRPMI 1640 培地の 200 ? L を添加して 5 日間にわたって 培養した。なお,供試抗菌薬の培地中への添加濃度は臨 床投与量を投与した際の血中 Cmax 濃度とした。 A-549 細胞については, 5% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊 させた 200 ? L(4×104 cellswell)を平底 96 ウエルへ加 え,5% CO2 下で 37℃,18 時間培養した。次いで,培養 液を除去した後に 2% FBS-HBSS で細胞を洗浄し,5% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊させた供試菌の 100 ? L(8× 105 CFUwell)を加えた。4 時間培養後に 2% FBS-HBSS で非感染菌を洗浄・除去し,上述と同様に実験を行った。 いずれの細胞についても,所定日に 0.23% sodium dodecyl sulfate (SDS)の 80? L を各ウエルに加えて細胞を 溶解した後,これを 20% BSA (120 ? L)で混じることによ り SDS を中和させた。次いで,約 10 倍量の蒸留水にて 2 回遠心・洗浄した後に,蒸留水で 10 倍階段希釈を行 い,その 10 ? L を 7H11 寒天平板上にスポットし, 7 日培VOL.52NO.9 細胞内抗酸菌に対する抗菌薬と漢方薬の併用効果 487養後にコロニーをカウントすることにより細胞内菌数を 計測した。 Table 1 には,THP-1 M φ 内局在 MAC に対する CAM RFP の抗菌活性に及ぼす各漢方薬(根湯,補中益気湯, 十全大補湯)の添加効果について示した。Table 1 より明 かなように,CAMRFP 単独では M φ 内の MAC に対して 有意なレベルの殺菌能が認められたが,他方,いずれの 漢方薬ともそれら単独では M φ 内での MAC 菌の増殖を 阻害する傾向はみられなかった。さらに,各漢方薬を CAMRFP と併用した場合にも,CAMRFP による殺菌 能をさらに増強させるような効果は認められなかった。 これらのことは,今回供試した 3 種の漢方薬は,麻黄附 子細辛湯の場合7)とは異なり,単独または CAMRFP と の併用添加の系でも,MAC 菌の M φ 内での挙動には特に 影響を及ぼさないことを示している。しかしながら,別 の実験でペプトン誘導マウス腹腔細胞をこれら漢方薬で 3 日間処理した後,非付着細胞を洗浄・除去した後に得 られたマウス腹腔M φ に MAC を感染させ,その後 CAMRFP 存在下で培養したところ,漢方薬処理 M φ で は CAMRFP の MAC 殺菌能が増強されるといった現象 が認められている(論文作成中)。このことは,これら漢 方薬は M φ 自体にはその抗菌力を増強させるような活 性化作用は発揮し得ないものの,リンパ球の活性化を介 して M φ 殺菌能を up regulate するような免疫調節作用 を示し得るといった可能性を示している。このことから, in vivo でのMAC 感染に対するCAMRFP の治療効果 はこれらの漢方薬の併用投与によってある程度は増強さ れる可能性が考えられるが,この点については今後の検 討に待ちたい。 先にわれわれは,結核菌や MAC は生体内の II 型肺 胞上皮細胞内へ侵入し,そこを一時的な増殖の場にして いること,結核菌あるいは MAC 感染 II 型肺胞上皮細 胞は,TNFα と GM-CSF の産生増強を介して,M φ の抗 菌活性を up regulate し,さらに MCP-1 や IL-8 の産生増 強を介して,種々の炎症性細胞を感染局所へ集積させる ことにより,宿主感染抵抗性を亢進させていることを報 告した20)。Table 2 に示したように,先の THP-1 M φ にお ける場合と同様に,CAMRFP 単独では A-549 細胞内の MAC に対して有意なレベルの殺菌能が認められたが,他 方,根湯,補中益気湯や十全大補湯はいずれもそれら 単独では A-549 細胞内 MAC 菌の増殖を阻害するような 傾向はみられず,さらに各漢方薬を CAMRFP と併用し た場合,CAMRFP による殺菌能をさらに増強させるよ うな効果も認められなかった。しかしながら,これらの 漢方薬を生体へ投与した場合,II 型肺胞上皮細胞からの サイトカインなどの産生増強を介してM φ の抗菌活性 を亢進させる可能性が残っており,この点については今 後の検討に待ちたい。 以上の成績より,CAMRFP は供試細胞内の MAC に対して有意なレベルの殺菌作用を示すが,各漢方薬単独に はそのような殺菌作用のみならず増殖阻害作用も認め得 ないこと,また CAMRFP に各漢方薬を併用した場合で も CAMRFP の殺菌作用の増強は認められないことが わかった。このように,今回の成績は,漢方薬の中には 麻黄附子細辛湯のような M φ の抗 MAC 活性を直接増強 する薬効を有するものから7),そうした作用を示さない 根湯,補中益気湯,十全大補湯およびヨクイニン8)など さまざまであることを示唆しているが,今後さらに多く の漢方薬について検討を進める予定である。 謝辞 供試薬剤を分与いただいたアボットジャパン株式会社 ならびに株式会社ツムラに深謝します。

文献 1) Inderlied C B, Kemper C A, Bermudez L E: The Mycobacterium avium complex. Clin Microbiol Rev 6 : 266〜310, 1993 2) Tomioka H: Prospects for development of new antimycobacterial drugs. J Infect Chemother 6:8〜20, 2000 3) Benson C A: Disseminated Mycobacterium avium complex infection: implications of recent clinical trials on prophylaxis and treatment. AIDS Clin Rev 98: 271〜287, 1997 4) 冨岡治明:非結核性抗酸菌の分類と細菌学的特徴。呼 吸と循環 52: 565〜574, 2004 5) 冨岡治明:新しい抗結核薬開発の展望。結核 77: 573〜584, 2002 6) Tomioka H: Adjunctive immunotherapy of mycobacterial infections. Curr Pharm Design 2004. in press 7) Shimizu T, Tomioka H, Sato K, et al: Effect of the Chinese traditional medicine Mao-bushi-saishin-to on therapeutic efficacy of a new benzoxazinorifamycin, KRM-1648, against Mycobacterium avium infection in mice. Antimicrob Agent Chemother 43: 514〜519, 1999 8) Shimizu T, Tomioka H, Sato K, et al : Effects of Yokuinin on the therapeutic efficacy of a new benzoxazinorifamycin KRM-1648 against Mycobacterium avium complex. Int J Antimicrob Agents 11: 69〜74, 1999 9) 村岡健一,吉田 哲,長谷川和正,他:葛根湯製剤の 作用機序の薬理学的検討―イヌによる体温上昇と免 疫能活性について―。J Trand Med 20: 30〜37, 2003 10) 済木育夫:漢方薬の抗腫瘍効果とその作用機序。医学 のあゆみ 202: 205〜209, 2002 11) 草地信也,炭山嘉伸,長尾二郎,他:MRSA 除菌方法 の検討 創の処置と補中益気湯投与について。Prog Med 21: 1360〜1361, 2001 12) 安部 茂,石橋弘子,丹羽 茂,他:各種漢方補剤の 経口投与による Candida 感染マウスの延命効果。日 医真菌会誌 41: 115〜119, 2000 13) Shigehito N: Effect of Hochu-ekki-to on asymptomatic MRSA bacteriuria. J Infect Chemother 9: 58〜61, 2003 14) 川喜多卓也,野本亀久雄:補中益気湯の免疫薬理作用 とその臨床応用。Prog Med 18: 801〜807, 1998 15) 徳里夏提依米提,李 愛麗,大川尚子,他:経口免疫
488 日本化学療法学会雑誌 S E P T. 2004
調節剤によるHelicobacter pylori への直接作用及び 白血球への量的・質的影響。Bacter Adhere Biofilm 15: 139〜144, 2001 16) Abe S, Tansho S, Ishibashi H, et al: Protection of immunosuppressed mice from lethal Cndida infection by oral administration of a kampo medicine, Hochuekki-to. Immunopharmacol Immunotoxicol 21: 331〜 342, 1999 17) 木戸敏孝,石毛 敦,佐々木博:補中益気湯の免疫調 節作用とウイルス感染に対する効果。漢方と免疫・ア レルギー 15: 10〜20, 2001 18) 河野 寛,浅川真巳,牧 章,他:肝細胞癌発癌抑制 を目的とした十全大補湯によるKupffer 細胞の活性 化抑制と抗腫瘍免疫能活性化。Prog Med 23: 1556〜
1557, 2003 19) Utsuyama M, Seidlar H, Kitagawa M, et al: Immunological restoration and anti-tumor effect by Japanese herbal medicine in aged mice. Mech Aging Dev 122: 341〜352, 2001 20) Sato K, Tomioka H, Shimizu T, et al: Type II alveolar cells play roles in macrophage-mediated host innate resistance to pulmonary mycobacterial infections by producing proinflammatory cytokines. J Infect Dis 185: 1139〜1147, 2002 21) 佐藤勝昌,小笠原圭子,赤木竜也,他:マクロファー ジおよび II 型肺胞上皮細胞内の結核菌あるいはMycobacterium avium complex に対する各種薬剤の抗 菌効果。結核 74: 571〜577, 1999
Effects of the Chinese traditional medicines Kakkon-to, Hochu-ekki-to, and Juzen-taiho-to on the antimicrobial activity of clarithromycin in combination with rifampicin against Mycobacterium avium complex within THP-1 human macrophages and A-549 human type II alveolar epithelial cells
Katsumasa Sato, Toshiaki Shimizu, Chiaki Sano and Haruaki Tomioka
Department of Microbiology and Immunology, Shimane University School of Medicine, Izumo, Shimane, Japan
Since Mycobacterium avium complex(MAC)infections are very refractory, the development of new drugs with strong anti-MAC activity or therapeutic regimens using ordinary antimycobacterial drugs in combination with immunomodulators is urgently desired. In this study, we studied the effects of the Chinese traditional medicines Kakkon-to, Hochu-ekki-to, and Juzen-taiho-to, which exhibit immunopotentiating activity, on the antimicrobial activity of clarithromycin (CAM)in combination with rifampicin(RFP)against MAC organisms replicating within THP-1 human macrophage(M φ )and A-549 human type II alveolar epithelial cell lines. When MAC-infected cells were cultured for 5 days in a 5% FBS-RPMI 1640 medium in the presence or absence of CAMRFP at Cmax doses(CAM, 2.3 ? gmL; RFP, 6.2 ? gmL)with or without the Chinese herbal medicines at concentrations of 1 ? gmL to 100 ? gmL, CAMRFP significantly eliminated the intracellular organisms within THP-1 M φ s and A-549 cells. The Chinese traditional medicines, however, failed to inhibit intracellular bacterial growth. Moreover, these herbal medicines did not potentiate the activity of CAMRFP against intracellular MAC

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【短 報】
細胞内 Mycobacterium avium complex に対する clarithromycin と rifampicin の 抗菌活性に及ぼす根湯,補中益気湯および十全大補湯の影響
佐藤 勝昌・清水 利朗・佐野 千晶・冨岡 治明* 島根大学医学部微生物・免疫学教室
(平成 16 年 7 月 5 日受付・平成 16 年 7 月 23 日受理)

Mycobacterium avium complex (MAC)は isoniazid, ethambutol,pyrazinamide や rifampicin(RFP)などの抗 結核薬に対する耐性度が高く,近年開発された clarithromycin (CAM),azithromycin や rifabutin などと他の抗結 核薬との多剤併用による化学療法は MAC 症にかなり有 効であるとはいえ,いまだ菌陰性化には至らない症例や 再燃を繰り返す症例が多く治療に難渋しているのが現状 である1〜4)。また,現在抗 MAC 活性を有する薬剤が種々 開発されつつあるものの,臨床試験に供されているもの はほとんどない5)。したがって,MAC 感染症に対するよ り有効な化学療法を考えるうえでは,当分の間は既存の 抗菌薬による治療効果を免疫調節剤などのadjunctive agent で増強させるような形での治療レジメンの開発に 期待せざるを得ないように思われる5,6)。 このような免疫補助剤の candidate の 1 つとして漢方 薬が挙げられるが,先にわれわれは rifalazil(RLZ)による マクロファージ(M φ )内 MAC 菌の殺菌作用は漢方製剤 である麻黄附子細辛湯との併用によって有意に増強され ること,また実験的マウス MAC 感染症に対する RLZ と 麻黄附子細辛湯との併用投与によって,麻黄附子細辛湯 は RLZ の治療効果を有意に増強させることを見いだし ている7)。他方,別の漢方薬のヨクイニンにはそうした活 性は認められていない8)。ところで,麻黄附子細辛湯の他 に,宿主免疫能を亢進させる薬効を有する漢方薬として は,根湯,補中益気湯あるいは十全大補湯などが知られており,このうち,根湯は急性熱性疾患に用いられ る代表的な漢方薬で,特にかぜ症候群の初期症状に有効 であるとされており,その有効性は宿主免疫能の亢進に 基づくものと考えられている9)。また,補中益気湯および 十全大補湯は互いに類似した生薬を含有しており,古く から病後・術後あるいは慢性疾患などで全身倦怠感が著 しく,顔色不良や食欲不振などの症状がある場合の虚弱 体質の改善に有効とされ10),近年では,これらの漢方薬 には,各種細菌,真菌あるいはウイルス感染に対する宿 主抵抗性増強作用11〜17),さらには抗腫瘍効果なども報告 され10,18,19),免疫調節剤としての機能が注目されている。 今回は,上述の麻黄附子細辛湯について行った検討の 対象を根湯,補中益気湯および十全大補湯にも拡げ, これらの漢方薬の M φ 内 MAC 菌に対する CAMRFP の 抗菌活性発現に及ぼす効果について検討した。併せて, 結核菌や MAC による肺感染時には,感染菌が最初に接 触する宿主細胞としては肺胞 M φ のみならず肺胞上皮 細胞も重要であると考えられるので20),II 型肺胞上皮細 胞にMAC 菌を感染させた系についても同様な検討を 行った。 肺 MAC 症患者よりの分離株である MAC N-444 株(M. avium と同定済み)を 7H9 培地中,37℃で5 日間培養 し,遠心・洗浄後に 1% 牛血清アルブミン(BSA)含有リ ン酸緩衝生理食塩液に浮遊させた。次いで,超音波処理 によって均等菌浮遊液とした後に−80℃ に保存した。用時にこの菌液を溶解し,再度の超音波処理後に実験に供 試した。 American Type Culture Collection より入手したTHP1 ヒトマクロファージ株(THP-1 M φ )と A-549 ヒトII 型肺胞上皮細胞株(A-549 細胞)を 10% 牛胎児血清(FBS) 加 RPMI 1640 培地中で培養したものを供した。細胞内生 菌数の計測は以下のように行ったが,本実験系で得られ た値は細胞内菌数を反映したものであることが確かめら れている21)。 すなわち,THP-1 M φ については2,000 unitsmL recombinant ヒト IFNγ (Bender MedSystems,米国),100 nM calcitriol(和光純薬)および 1 ngmL LPS(E. coli 0111:B4()Difco Laboratories)含有 10% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊させ,その 200 ? L (1×105 cellswell)を平底 96 ウエルへ加え, 5% CO2 下で 37℃, 2 日培養することに よって M φ へと分化させて供した。次いで,培養液を除 去した後に 2% FBS 加ハンクス氏液(HBSS)で細胞を洗 浄し,5% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊させた供試菌の100? L (2×106 CFUwell)を加えた。3 時間培養後に 2%FBS-HBSS で非感染菌を洗浄・除去し,各濃度の漢方薬 (ツムラ)あるいは CAM(2.3 ? gmL()アボットジャパ ン)と RFP(6.2 ? gmL)(和光純薬)を含有する 5% FBSRPMI 1640 培地の 200 ? L を添加して 5 日間にわたって 培養した。なお,供試抗菌薬の培地中への添加濃度は臨 床投与量を投与した際の血中 Cmax 濃度とした。 A-549 細胞については, 5% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊 させた 200 ? L(4×104 cellswell)を平底 96 ウエルへ加 え,5% CO2 下で 37℃,18 時間培養した。次いで,培養 液を除去した後に 2% FBS-HBSS で細胞を洗浄し,5% FBS-RPMI 1640 培地に浮遊させた供試菌の 100 ? L(8× 105 CFUwell)を加えた。4 時間培養後に 2% FBS-HBSS で非感染菌を洗浄・除去し,上述と同様に実験を行った。 いずれの細胞についても,所定日に 0.23% sodium dodecyl sulfate (SDS)の 80? L を各ウエルに加えて細胞を 溶解した後,これを 20% BSA (120 ? L)で混じることによ り SDS を中和させた。次いで,約 10 倍量の蒸留水にて 2 回遠心・洗浄した後に,蒸留水で 10 倍階段希釈を行 い,その 10 ? L を 7H11 寒天平板上にスポットし, 7 日培VOL.52NO.9 細胞内抗酸菌に対する抗菌薬と漢方薬の併用効果 487養後にコロニーをカウントすることにより細胞内菌数を 計測した。 Table 1 には,THP-1 M φ 内局在 MAC に対する CAM RFP の抗菌活性に及ぼす各漢方薬(根湯,補中益気湯, 十全大補湯)の添加効果について示した。Table 1 より明 かなように,CAMRFP 単独では M φ 内の MAC に対して 有意なレベルの殺菌能が認められたが,他方,いずれの 漢方薬ともそれら単独では M φ 内での MAC 菌の増殖を 阻害する傾向はみられなかった。さらに,各漢方薬を CAMRFP と併用した場合にも,CAMRFP による殺菌 能をさらに増強させるような効果は認められなかった。 これらのことは,今回供試した 3 種の漢方薬は,麻黄附 子細辛湯の場合7)とは異なり,単独または CAMRFP と の併用添加の系でも,MAC 菌の M φ 内での挙動には特に 影響を及ぼさないことを示している。しかしながら,別 の実験でペプトン誘導マウス腹腔細胞をこれら漢方薬で 3 日間処理した後,非付着細胞を洗浄・除去した後に得 られたマウス腹腔M φ に MAC を感染させ,その後 CAMRFP 存在下で培養したところ,漢方薬処理 M φ で は CAMRFP の MAC 殺菌能が増強されるといった現象 が認められている(論文作成中)。このことは,これら漢 方薬は M φ 自体にはその抗菌力を増強させるような活 性化作用は発揮し得ないものの,リンパ球の活性化を介 して M φ 殺菌能を up regulate するような免疫調節作用 を示し得るといった可能性を示している。このことから, in vivo でのMAC 感染に対するCAMRFP の治療効果 はこれらの漢方薬の併用投与によってある程度は増強さ れる可能性が考えられるが,この点については今後の検 討に待ちたい。 先にわれわれは,結核菌や MAC は生体内の II 型肺 胞上皮細胞内へ侵入し,そこを一時的な増殖の場にして いること,結核菌あるいは MAC 感染 II 型肺胞上皮細 胞は,TNFα と GM-CSF の産生増強を介して,M φ の抗 菌活性を up regulate し,さらに MCP-1 や IL-8 の産生増 強を介して,種々の炎症性細胞を感染局所へ集積させる ことにより,宿主感染抵抗性を亢進させていることを報 告した20)。Table 2 に示したように,先の THP-1 M φ にお ける場合と同様に,CAMRFP 単独では A-549 細胞内の MAC に対して有意なレベルの殺菌能が認められたが,他 方,根湯,補中益気湯や十全大補湯はいずれもそれら 単独では A-549 細胞内 MAC 菌の増殖を阻害するような 傾向はみられず,さらに各漢方薬を CAMRFP と併用し た場合,CAMRFP による殺菌能をさらに増強させるよ うな効果も認められなかった。しかしながら,これらの 漢方薬を生体へ投与した場合,II 型肺胞上皮細胞からの サイトカインなどの産生増強を介してM φ の抗菌活性 を亢進させる可能性が残っており,この点については今 後の検討に待ちたい。 以上の成績より,CAMRFP は供試細胞内の MAC に対して有意なレベルの殺菌作用を示すが,各漢方薬単独に はそのような殺菌作用のみならず増殖阻害作用も認め得 ないこと,また CAMRFP に各漢方薬を併用した場合で も CAMRFP の殺菌作用の増強は認められないことが わかった。このように,今回の成績は,漢方薬の中には 麻黄附子細辛湯のような M φ の抗 MAC 活性を直接増強 する薬効を有するものから7),そうした作用を示さない 根湯,補中益気湯,十全大補湯およびヨクイニン8)など さまざまであることを示唆しているが,今後さらに多く の漢方薬について検討を進める予定である。 謝辞 供試薬剤を分与いただいたアボットジャパン株式会社 ならびに株式会社ツムラに深謝します。

文献 1) Inderlied C B, Kemper C A, Bermudez L E: The Mycobacterium avium complex. Clin Microbiol Rev 6 : 266〜310, 1993 2) Tomioka H: Prospects for development of new antimycobacterial drugs. J Infect Chemother 6:8〜20, 2000 3) Benson C A: Disseminated Mycobacterium avium complex infection: implications of recent clinical trials on prophylaxis and treatment. AIDS Clin Rev 98: 271〜287, 1997 4) 冨岡治明:非結核性抗酸菌の分類と細菌学的特徴。呼 吸と循環 52: 565〜574, 2004 5) 冨岡治明:新しい抗結核薬開発の展望。結核 77: 573〜584, 2002 6) Tomioka H: Adjunctive immunotherapy of mycobacterial infections. Curr Pharm Design 2004. in press 7) Shimizu T, Tomioka H, Sato K, et al: Effect of the Chinese traditional medicine Mao-bushi-saishin-to on therapeutic efficacy of a new benzoxazinorifamycin, KRM-1648, against Mycobacterium avium infection in mice. Antimicrob Agent Chemother 43: 514〜519, 1999 8) Shimizu T, Tomioka H, Sato K, et al : Effects of Yokuinin on the therapeutic efficacy of a new benzoxazinorifamycin KRM-1648 against Mycobacterium avium complex. Int J Antimicrob Agents 11: 69〜74, 1999 9) 村岡健一,吉田 哲,長谷川和正,他:葛根湯製剤の 作用機序の薬理学的検討―イヌによる体温上昇と免 疫能活性について―。J Trand Med 20: 30〜37, 2003 10) 済木育夫:漢方薬の抗腫瘍効果とその作用機序。医学 のあゆみ 202: 205〜209, 2002 11) 草地信也,炭山嘉伸,長尾二郎,他:MRSA 除菌方法 の検討 創の処置と補中益気湯投与について。Prog Med 21: 1360〜1361, 2001 12) 安部 茂,石橋弘子,丹羽 茂,他:各種漢方補剤の 経口投与による Candida 感染マウスの延命効果。日 医真菌会誌 41: 115〜119, 2000 13) Shigehito N: Effect of Hochu-ekki-to on asymptomatic MRSA bacteriuria. J Infect Chemother 9: 58〜61, 2003 14) 川喜多卓也,野本亀久雄:補中益気湯の免疫薬理作用 とその臨床応用。Prog Med 18: 801〜807, 1998 15) 徳里夏提依米提,李 愛麗,大川尚子,他:経口免疫
488 日本化学療法学会雑誌 S E P T. 2004
調節剤によるHelicobacter pylori への直接作用及び 白血球への量的・質的影響。Bacter Adhere Biofilm 15: 139〜144, 2001 16) Abe S, Tansho S, Ishibashi H, et al: Protection of immunosuppressed mice from lethal Cndida infection by oral administration of a kampo medicine, Hochuekki-to. Immunopharmacol Immunotoxicol 21: 331〜 342, 1999 17) 木戸敏孝,石毛 敦,佐々木博:補中益気湯の免疫調 節作用とウイルス感染に対する効果。漢方と免疫・ア レルギー 15: 10〜20, 2001 18) 河野 寛,浅川真巳,牧 章,他:肝細胞癌発癌抑制 を目的とした十全大補湯によるKupffer 細胞の活性 化抑制と抗腫瘍免疫能活性化。Prog Med 23: 1556〜
1557, 2003 19) Utsuyama M, Seidlar H, Kitagawa M, et al: Immunological restoration and anti-tumor effect by Japanese herbal medicine in aged mice. Mech Aging Dev 122: 341〜352, 2001 20) Sato K, Tomioka H, Shimizu T, et al: Type II alveolar cells play roles in macrophage-mediated host innate resistance to pulmonary mycobacterial infections by producing proinflammatory cytokines. J Infect Dis 185: 1139〜1147, 2002 21) 佐藤勝昌,小笠原圭子,赤木竜也,他:マクロファー ジおよび II 型肺胞上皮細胞内の結核菌あるいはMycobacterium avium complex に対する各種薬剤の抗 菌効果。結核 74: 571〜577, 1999
Effects of the Chinese traditional medicines Kakkon-to, Hochu-ekki-to, and Juzen-taiho-to on the antimicrobial activity of clarithromycin in combination with rifampicin against Mycobacterium avium complex within THP-1 human macrophages and A-549 human type II alveolar epithelial cells
Katsumasa Sato, Toshiaki Shimizu, Chiaki Sano and Haruaki Tomioka
Department of Microbiology and Immunology, Shimane University School of Medicine, Izumo, Shimane, Japan
Since Mycobacterium avium complex(MAC)infections are very refractory, the development of new drugs with strong anti-MAC activity or therapeutic regimens using ordinary antimycobacterial drugs in combination with immunomodulators is urgently desired. In this study, we studied the effects of the Chinese traditional medicines Kakkon-to, Hochu-ekki-to, and Juzen-taiho-to, which exhibit immunopotentiating activity, on the antimicrobial activity of clarithromycin (CAM)in combination with rifampicin(RFP)against MAC organisms replicating within THP-1 human macrophage(M φ )and A-549 human type II alveolar epithelial cell lines. When MAC-infected cells were cultured for 5 days in a 5% FBS-RPMI 1640 medium in the presence or absence of CAMRFP at Cmax doses(CAM, 2.3 ? gmL; RFP, 6.2 ? gmL)with or without the Chinese herbal medicines at concentrations of 1 ? gmL to 100 ? gmL, CAMRFP significantly eliminated the intracellular organisms within THP-1 M φ s and A-549 cells. The Chinese traditional medicines, however, failed to inhibit intracellular bacterial growth. Moreover, these herbal medicines did not potentiate the activity of CAMRFP against intracellular MAC


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非結核性(非定型)抗酸菌症の診断基準の資料
非結核性(非定型)抗酸菌症の診断基準の資料です。.
肺非結核性抗酸菌症の診断基準(結核病学会基準)
1. 臨床的基準
   
肺の慢性感染症に伴う典型的な症状(咳,喀痰,全身倦怠感,喀血,息切れ)や所見(発熱,体重減少,赤沈の亢 進,CRPの増加等)のいずれかがあること,かつ症状や所見を呈しうる他疾患(結核,癌,真菌症,肺炎等)が否定できるあるいはそれらの疾患に適切な治療を行っても症状や所見が悪化すること

2. 画像的基準
 
a) 胸部X-Pで多発性結節か空洞か2カ月以上続く浸潤影があること(1年以上前からある陰影では徐々に悪化している)
b) HRCTで多発性の小結節か肺野の小結節を伴うもしくは伴わない多発性の気管支拡張所見があること

3. 細菌学的基準
 
A) M.avium complex
a) 1年以内で少なくとも3回の喀痰もしくは気管支洗浄液について
抗酸菌塗抹陰性の場合は培養陽性が3回, 抗酸菌塗抹陽性の場合は培養陽性が2回   
b) 喀痰が得られず気管支洗浄液を1回採取できた場合
培養が100コロニ-以上または塗抹が2+(ガフキー5号相当)以上
ただしHIV陽性を除く全身性の免疫低下がある場合,上記基準の培養を50コロニ-以上とする
B) M.kansasii
a) 1年以内で少なくとも2回の喀痰もしくは気管支洗浄液の培養が陽性(菌量は問わず)
b) 喀痰が得られず気管支洗浄液を1回採取できた場合で培養が陽性(回数・菌量は問わず)
C) その他の菌種
a) 1年以内で少なくとも3回の喀痰もしくは気管支洗浄液について
抗酸菌塗抹陰性の場合は培養陽性が3回,抗酸菌塗抹陽性の場合は培養陽性が2回
b) 喀痰が得られず気管支洗浄液を1回採取できた場合
培養が100コロニ-以上,または塗抹が2+(ガフキ-5号相当)以上
ただし全身性の免疫低下がある場合とHIV陽性でCD4<200の時は上記基準の培養を50コロニ-以上とする
D) 全ての菌種共通に下記条件のいずれかを満たした場合
a) 気管支や肺の生検組織からの培養陽性(菌量問わず)
b) 気管支や肺の生検組織に肉芽腫か抗酸菌が認められ,かつ喀痰または気管支洗浄液からの培養陽性
c) 通常無菌部分(胸水,骨髄,血液,髄液等)からの培養陽性(菌量問わず)

4. 肺野孤立結節例

  画像上の孤立結節を外科的に完全に切除した例で,組織が類上皮細胞肉芽腫でありかつ組織から病原性非結核性抗酸菌が培養された場合(菌量問わず),臨床的基準と画像的基準を満たさなくても例外的に肺非結核性抗酸菌症と診断してよい
 

わが国で肺感染症が報告されている病原性非結核性抗酸菌

しばしば認められる菌種
  M.avium, M.intracellulare , M.kansasii
比較的まれに認められる菌種
  M.abscessus, M.fortuitum, M.chelonae, M.szulgai, M.xenopi, M.nonchromogenicum, M.terrae, M.scrofulaceum, M.gordonae, M.simiae, M.shimoidei, M.thermoresistible
 

文献
1)日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会:非定型抗酸菌の治療に関する見解-1998年. 結核.1998;73:599-605.



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非定型抗酸菌症の治療に関する見解
非定型抗酸菌症の治療に関する見解
非定型抗酸菌症対策委員会報告

 

1.概  説
 非定型抗酸菌とは, 抗酸菌の中で結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex : M.tuberculosis および,  これと類似の M.bovis, M.africanum, M.microti を一括)を除く培養可能な抗酸菌を一括した呼称であり, それによる感染症は 非定型抗酸菌症と呼ばれている。
 非定型抗酸菌は atypical mycobacteria の邦訳であり, 外国では atypical と言う表現は必ずしも適当でないとして, nontuber culous mycobacteria と呼ばれることが多くなり, わが国でも専門家の間では非結核性抗酸菌の名称が使われるようになった。しか し, 一般には非定型抗酸菌が慣用的に使われており, 本委員会の名称も非定型抗酸菌症対策委員会であること, 厚生省の定めてい る結核の活動性分類にも非定型抗酸菌の名称が使用されているため, 本委員会では非定型抗酸菌の名称を使用することとする。
 非定型抗酸菌は Runyon により?〜?群に大別されているが, 最近では臨床上遭遇する大多数の菌を一定の菌種(species)に鑑別・ 同定出来るので 2) 3) , それぞれの菌を菌種名で呼び, それによる疾患もその菌種名を附し た感染症(例えば M.kansasii 感染症)と呼ぶのが正しい。
 これらの菌は塵埃, 土壌, 水などの自然界に由来すると考えられており, 患者家族や大量排菌者との接触者からの発病例がほと んどないことから, ヒトからヒトへの感染は無視しうると考えられている(脚注1)。
 非定型抗酸菌症のほとんどは肺疾患であり, 肺結核類似の有空洞の肺感染症をおこす。M.avium complex(脚注2)感染症では,  その早期像として中下肺野の多発性の小結節や気管支拡張像が注目されており3) 4), これらから 進展して慢性気道感染症の病像を呈する例が中高齢の女性を中心に目立つようになっている。少数例では皮膚疾患, リンパ節炎や全身 播種型などの肺外疾患をおこすこともある。非定型抗酸菌は一般に毒力が弱く, 日和見感染症の起炎菌としての側面を有し, 肺に 基礎疾患を有するものや, 宿主の抵抗力の減弱にともなって発症することが多い。
 細胞性免疫能の低下しているAIDS患者では, 結核のみならず, 全身播種型の M.acium complex 感染症や時には M.kansasii 感染症などの抗酸菌症が致命的な合併症となることが知られているが, 1990年代に入って, 欧米各国ではAIDS患者の増加にともなって,  従来症例報告の少なかった M.haemophilum などの感染症が多くなり, 今後増加する(emerging pathogen)として注目されている。さら にこれまで知られていなかった新菌種による感染症例の報告が相次いでおり, なかでも M.genavense, および M.celatum が注目すべき菌 種である3)。




2.わが国における非定型抗酸菌症の現況
 国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班など73施設についての調査によれば5), 肺非定型抗酸菌症の 年間発生率は人口10万対1.5−2.5で1985−1992年の間増加傾向にある。また, 肺結核患者の減少にともなって抗酸菌症中の非定型 抗酸菌症の占める比率は上昇しつつあり, 1992年には, これらの施設に年々新たに入院する抗酸菌陽性患者の中に非定型抗酸菌症 患者の占める比率は16%に達している。
 菌種別で最も重要なものは, M.avium complex 感染症で, 全非定型抗酸菌症の70%を占めている。近畿地方を含めた東日本 では M.avium 感染症が多く, 西日本では M.intracellulare 感染症が多い。また, AIDS 患者においては M.avium による全身播種型感染症が多い。非定型抗酸菌症の中で次に重要なものは, M.kansasii 感染症で, 最近, 発生率が増加して 全非定型抗酸菌症の20%に達し, 以前は東京およびその周辺に限られていた発生が全国に及んでいる。また, M.scrofulaceum, M.szulgai, M.nonchromogenicum, M.fortuitum, M.chelonae, M.abscessus, M.xenopi などによる感染症が出現ないし増加し, 非定型抗酸菌症の多様化がみられてい る 5)6)。さらに新しい菌種についての留意も必要である。

3.非定型抗酸菌の分離同定上の注意
 病的材料からの非定型抗酸菌の分離は, 結核菌の分離培養に準じ, 小川培地を用いて行われるが, 最近は液体培地, なかんず く蛍光発色によって抗酸菌を迅速に検出しうる「BBL TM MGIT TM 抗酸菌検出」による培養システムが, 従来の卵培地より, 検出率, 検出所要日数共に優れていることが明らかにされ, 検出まで の平均日数が7日となった 7) 8)。しかし, 排菌量の測定に問題が残っている。非定型抗酸菌は結核菌に 比してアルカリに弱いので, 前処置法として NALC-NaOH を用いることが推奨されている。
 AIDS患者では全身播種型の M.avium complex 感染症をおこすので, 不明熱が続く場合は, 喀痰のみでなく, 血液培養や便の 培養を頻回に行うべきで, 肝生検や骨髄生検もその診断に有用である。
 非定型抗酸菌には至適発育温度が37℃より高い菌種, 低い菌種があるため, 治療前に塗抹陽性培養陰性の場合は, M.xenopi では 43-45℃, M.marinum, M.chelonae では 28-33℃ で分離を試みる必要がある。皮膚感染を疑う場合は, 培養温度を28℃と 37℃の2種類用いる。
 孵卵器の扉を開けたままにして, 培養株を長く光にあてると, 光発色菌が発色して判定を誤ることがあるので注意する。
 培養した菌は?抗酸菌であることの確認, ?抗酸菌の同定の順で検査を行う。?抗酸菌であることの確認は, Ziehl-Neelsen 染色で行い, 蛍光法のみでは不十分である。?抗酸菌の同定は, まず結核菌群および M.avium complex 鑑別同定用キットである 「アキュプロ−ブ結核菌群同定」および「アキュプロ−ブ マイコバクテリウム アビウム コンプレックス」を用いて, いずれ の菌であるかの決定を行う。これらのキットのいずれとも反応しない菌株は「DDH マイコバクテリア極東」, さらには従来より使用 されている生化学反応を主体とした簡易同定キットである「極東抗酸菌鑑別セット」を用いて菌を同定する。簡易同定キットは同定 キットに指示された反応がすべて適合する場合にのみ同定結果を信用する。上述した方法によっても同定不可能な場合には, 専門 施設に同定を依頼することが望ましい

4.非定型抗酸菌症の診断基準
 本症の診断基準には日比野・山本の診断基準9)(それを改良した非定型抗酸菌症研究協議会の診断基準10)) および国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班の診断基準11))がある。前者が満たされれば 確実に本症と診断しうるが, 厳格過ぎるきらいがあり, 本症を見逃さないためには後者が便利である。診断基準は M.avium complex 感染症について検討されたもので, M.kansasii 感染症では菌が 複数回検出されれば, 集落数を問わず感染症例としてよい。これらは主に非定型抗酸菌の検出回数および排菌量を判定基準とし,  抗酸菌症と一過性の分離との鑑別を行うことを主眼としたものである。しかし, 画像診断および分離同定法の発展, 気管支ファイ バ−スコ−プの普及に伴う検体採取法の進歩により, 従来の診断基準では当てはまらない初期の非定型抗酸菌症が注目されており,  この点を考慮した American Thoracic Society の診断基準3)にしめす。




5.非定型抗酸菌症の治療
 非定型抗酸菌症の標準的な化学療法の方式は確立されておらず, 経験的に抗結核薬を中心とした多剤併用療法が行われている。 また, 結核菌に対する薬剤感受性検査法をそのまま非定型抗酸菌に適応することには問題があり, その薬剤感受性検査法の確立 および各薬剤の臨床的有効性の評価が急務である。米国では M.avium complex 感染症に対するクラリスロマイシン(CAM) および M.kansasii 感染症に対するリファンピシン(RFP) の薬剤感受性検査以外の非定型抗酸菌に対する各種薬剤の薬剤感受性検査の臨床 的意義を疑問視する意見もある3)。
 非定型抗酸菌のうち, 薬剤感受性を示す M.kansasii, M.szulgai 感染症の治療は比較的容易であるが, 薬剤感受性に乏しい M.avium complex, M.fortuitum, M.scrofulaceum, M.chelonae 感染症の治療は困難なことが多い。
 ニュ−キノロンやニュ−マクロライドの一部が数種の非定型抗酸菌の発育を阻止することが知られるようになり, 治療薬として 考えられている。
 隔離のためのみの入院は必要ないが, 重症例の治療, 合併症の治療,  多剤併用療法の副作用の監視などのために入院が必 要な場合もある。
1)M.avium complex 感染症
 ストレプトマイシン(SM), カナマイシン(KM), エンビオマイシン(EVM), のうち1薬の注射に, エタンブト−ル(EB), RFPを 加えた3薬, あるいはこれにイソニコチン酸ヒドラジド(INH)を加えた4薬併用が一般的である(米国では 近年 INH の効果に疑問を抱く研究者もある)12) 13)。最近わが国でもCAMの1日600?以上をこれ らに加えると難治例にもある程度有効との成績が得られている14)。また国療共同研究班の中間 報告によれば, CAM を主薬として2〜3薬の抗結核薬との併用療法で, 早期例の多い初回治療では約 80% の症例が排菌陰性化し,  2年後でもその効果が持続しているとする成績が得られている15)。しかし, CAM は現時点では 非定型抗酸菌症に対する健康保険の適応は認められていない。これらに反応しない場合には, シプロフロキサシン(CPFX), スパ ルフロキサシン(SPFX)やレボフロキサシン(LVFX)などのニュ−キノロン, エチオナミド(TH), サイクロセリン(CS), アミカシン (AMK)などを加える。ニュ−キノロンとAMKも非定型抗酸菌症に対する健康保険の適応は認められていない。
 米国ではCAM(500?×2回/日), RFP(600?), EB(最初2か月は25?/?, 以後15?/?), さらに 患者が耐え得れば SM(最初の8週間2〜3回)を加えることを推奨している3)。CAM のか わりにアジスロマイシン (AZM) , RFP のかわりにリファブチン (RBT) を使用してもよいとしているが, これらの薬剤は現在の ところ, わが国では入手できない。
 化学療法は初回治療および悪化時に強力に行う。菌陰性化が9か月〜1年以上も持続すれば, 治療を中止して最初の1年間は慎重 に再排菌の有無を観察する。その後も定期的な観察を持続する。
 少量排菌や間欠排菌の場合は, 胸部X線所見の悪化がなければ化学療法を行わず経過を観察してもよいとの考えもあるが, これ らの例からしばしば悪化・進展がみられるので, 注意深く観察し, 悪化がみられれば強力に治療する。たとえ菌陰性化はしなく とも, 大量排菌が微量化すれば有効と考えてよい。
 菌の陰性化が得られず, 排菌が持続する場合, X線所見で悪化が持続しなければ, 排菌があるというだけで副作用の強い化学 療法を長期に漫然と続けるべきでない。ただし大量排菌の持続する例では, 無効として治療を中止すると, しばしば悪化すること がある。
 外科療法は, ?大量排菌が持続しており, ?X線所見にしばしば悪化が見られ, ?病巣が限局性であり, ?比較的若年で肺機能 からみて手術に耐えうるものが適応となる。これらの適応に合致する症例であれば, 術後合併症も少なく, 術後の菌陰性化率も高 い16) とされている。化学療法による菌陰性化は通常6カ月以内のことが多いので, この期間で 菌陰性化が得られず, 上記の条件を満たせば外科療法を考慮する。
 本症には日和見感染の傾向があるので, 宿主の抵抗力の増強に努める必要があり, 栄養の補給, 合併症の治療を行う。発熱,  咳, 痰, 食欲不振などに対する対症療法, 混合感染に対する一般抗菌薬投与も必要である。
 AIDSに合併する播種型の M.avium complex 感染症の治療には, 米国では CAM(500?×2回/日)または AZM (250?-500?/日) , EB(最初2カ月は25?/?, 以後15?/?)に RBT(300?)を加える生涯治療を推奨し, AIDS で CD4 が50以下になった場合 は, CAM(500?×2回/日)あるいは RBT(300?毎日), または AZM(週1回1200?)の単独あるいは RBT と AZM の併用による 予防内服を生涯ないし発病するまで行うことを推奨している3) が, わが国での経験は乏しい。な お CAM 単独の予防内服では発病者の 28-50%が CAM 耐性となるが, RBT, AZM では耐性獲得の頻度が低いとされている。
2)M.kansasii 感染症
 M.kansasii は INH, RFP, TH, CS, EB, CPFX, SPFX, LVFX, CAM, ST 合剤などに感受性があり, INH, RFP, EB の3剤併用が 有効で, ほとんどの症例で菌陰性化を期待しうる17)。 PZA には感受性がない。結核で行われている短期 化学療法も試みられているが, 治療期間は12(〜18)カ月とすることが望ましい。副作用などで TH 使用不能例や RFP 耐性例など ではニュ−キノロン, CAM, サルファメトキサゾ−ル,  ST 合剤をしようする18)〜21)。 米国でも INH(300?), RFP(600?), EB(最初2カ月は25?/?, 以後15?/?)を推奨している。
3)M.szulgai 感染症 M. xenopi 感染症
 これらの菌種には RFP, TH, EB および SM, KM, EVM に感受性を示すものが多く,  RFP, EB , に SM または TH を加えて治療す れば, 菌陰性化を期待しうる22)〜24) 。
4)M.fortuitum 感染症, M.abscessus 感染症, M.chelonae 感染症
 M.fortuitum には AMK, ニュ−キノロン, テトラサイクリン系薬剤(ミノサイクリン, ドキシサイクリン)に感受性があること があり, これらの薬剤が使用されている25) 26)。
 M.abscessus は CAM 以外の経口薬に感受性がなく, AMK, イミペネム, セフォキシチンの注射や症例により外科的切除も試みら れている27)。
 M.chelonae は, トブラマイシン, AMK, エリスロマイシン28) 以外に, CPFX にもかなり感受性がある28)。
 上記3菌種には CAM も有効といわれている。
5)その他の菌種による感染症
 M.scrofulaceum には感性薬がほとんどないが, そのなかでも比較的有効と思われる KM, RFP, EB または RFP, TH, EVM の組合せ を試みる。
 M.nonchromogenicum には EB, RFP, TH に感受性を示すものがあり, これらを組合せて治療し29) , さらに両感染症ともに CAM も組み合わせる。



脚注1.
 M.kansasii 感染症については, M.kansasii より作られた PPD を用いたツ反応の陽性率が, 多数の人と接触する階層に 高いこと, およびわが国における感染症の発生の状況から, 一定の条件の下ではヒトからヒトへの感染の可能性も否定しえないと の考えかたもある。
脚注2.
 M.avium とM.intracellulare は性状が類似しており, これらを一括して M.avium - M.intracellulare complex あるいは M.avium complex (MACと略することもある)とよぶことが多い。



文 献
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19)束村道雄, 水野松司, 外山春男:Ofloxacin, Ciprofloxacin および Norfloxacin の抗酸菌発育阻止作用の比較. 結核.1986;61:453-459.
20)斎藤肇, 佐藤勝昌, 冨岡治明, 他:諸種抗酸菌に対する norfloxacin, ofloxacin 及び ciprofloxacin の in vitro 並びに in vivo 抗菌活性.結核.1987;62:287-294.
21)下出久雄, 土井教生, 大塚義郎, 他:非定型抗酸菌症の臨床的研究, 第18報, ofloxacin による M.fortuitum 呼吸器感染症の治療成績.日本胸部臨床.1989;48:383-388.
22)下出久雄, 浦上栄一, 千葉胤夫:非定型抗酸菌症の臨床的研究.第12報.Mycobacterium szulgai による肺感染 症と診断上の問題点について.日本胸部臨床.1981;40:131-137.
23)Banks J, Hunter AM, Campbell IA, et al.:Pulmonary infection with Mycobacterium xenopi:review of treatment and response. Thorax. 1984;39:376-382.
24)寺島毅, 梅田啓, 坂巻文雄, 他:Mycobacterium xenopi 肺感染症の1例.結核.1993;68:653-656.
25)国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班:Mycobacterium fortuitum および Mycobacterium chelonae による肺感染症. 結核.1985;60:429-434.
26)Wallace RJ Jr, Brown BA, Onyi GO:Susceptibilities of Mycobacterium fortuitum biovar.fortuitum and the two subgroups of Mycobacterium chelonae to imipenem, cefmetazole, cefoxitin, and amoxicillin-clavulanic acid.Antimicrob Agents Chemother.1991;35:
773-775.
27)Griffith DE, Girard WM, Wallace RJ Jr:Clinical features of pulmonary disease caused by rapidly growing mycobacteria:an analysis of 154 patients.Am Rev Respir Dis.1993;147:1271-1278.
28)Swenson JM, Wallace RJ Jr, Silcox VA, et al.:Antimicrobial susceptibility of five subgroups of Mycobacterium fortuitum and Mycobacterium chelonae, Antimicrob Agents Chemother.1985;28:807-811.
29)喜多舒彦, 松田良信, 長坂行雄, 他:Mycobacterium nonchromogenicum による肺感染症.結核.1984;59:261-262.






日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会
委 員 長 山本 正彦
委  員 荒井 秀夫  河原   伸  岸 不盡彌  倉島 篤行  近藤 有好
坂谷 光則  佐藤 滋樹   原   耕平  水谷 清二

特別委員 一山   智  喜多 舒彦  久世 文幸  斎藤   肇  下出 久雄



(出典:結核.Vol.73, No.10: 599-605. 1998)


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最近の 網膜色素変性症 の見解です。
平成 24 年網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班による見解です。

網膜色素変性症

○ 概要
1.概要
遺伝子変異が原因で網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性する疾患である。初期には、夜盲と視野狭窄を自覚する。徐々に進行し、老年に至って社会的失明(矯正視力約 0.1 以下)となる例も多いが、生涯良好な視力を保つ例もある。進行に個人差が大きい。視細胞のうち杆体細胞のみの変性を杆体ジストロフィ、杆体細胞と錐体細胞両者の変性を杆体錐体ジストロフィと称す。

2.原因
遺伝子変異が原因で網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性すると考えられている。

3.症状
両眼性である。進行は緩徐である。
(1)夜盲
(2)視野狭窄
(3)視力低下
後期には色覚異常や光視症、羞明などを自覚する。

4.治療法
現時点では治療法が確立されていない。遺伝子治療、人工網膜、網膜再生、視細胞保護治療などについて研究が推進されている。本症に合併する白内障や黄斑浮腫に対しては、通常の治療法が行われている。

5.予後
病型により異なるが、全て両眼性進行性で、早いものでは 40 代に社会的失明状態になる。医学的失明(光覚なし)にいたる割合は高くない。60 代でも中心に視野が残り視力良好例もあるが、視野狭窄のため歩行など視野を要する動作が困難となり生活に支障を来す。白内障など、合併症による視力低下の一部は手術によって視機能が改善する。

○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数(平成 24 年度医療受給者証保持者数)
27,158 人
2.発病の機構
不明(遺伝子変異が原因と考えられている)
3.効果的な治療方法
未確立(根治的治療なし)
4.長期の療養
必要(徐々に進行)
5.診断基準
あり
6.重症度分類
現行の特定疾患治療研究事業の重症度分類を用いて、2,3,4 度の者を対象とする。
○ 情報提供元
「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班」
研究代表者 名古屋市立大学医学部眼科 教授 小椋祐一郎



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非定型抗酸菌症の治療に関する見解
非定型抗酸菌症の治療に関する見解
非定型抗酸菌症対策委員会報告

 

1.概  説
 非定型抗酸菌とは, 抗酸菌の中で結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex : M.tuberculosis および,  これと類似の M.bovis, M.africanum, M.microti を一括)を除く培養可能な抗酸菌を一括した呼称であり, それによる感染症は 非定型抗酸菌症と呼ばれている。
 非定型抗酸菌は atypical mycobacteria の邦訳であり, 外国では atypical と言う表現は必ずしも適当でないとして, nontuber culous mycobacteria と呼ばれることが多くなり, わが国でも専門家の間では非結核性抗酸菌の名称が使われるようになった。しか し, 一般には非定型抗酸菌が慣用的に使われており, 本委員会の名称も非定型抗酸菌症対策委員会であること, 厚生省の定めてい る結核の活動性分類にも非定型抗酸菌の名称が使用されているため, 本委員会では非定型抗酸菌の名称を使用することとする。
 非定型抗酸菌は Runyon により?〜?群に大別されているが, 最近では臨床上遭遇する大多数の菌を一定の菌種(species)に鑑別・ 同定出来るので 2) 3) , それぞれの菌を菌種名で呼び, それによる疾患もその菌種名を附し た感染症(例えば M.kansasii 感染症)と呼ぶのが正しい。
 これらの菌は塵埃, 土壌, 水などの自然界に由来すると考えられており, 患者家族や大量排菌者との接触者からの発病例がほと んどないことから, ヒトからヒトへの感染は無視しうると考えられている(脚注1)。
 非定型抗酸菌症のほとんどは肺疾患であり, 肺結核類似の有空洞の肺感染症をおこす。M.avium complex(脚注2)感染症では,  その早期像として中下肺野の多発性の小結節や気管支拡張像が注目されており3) 4), これらから 進展して慢性気道感染症の病像を呈する例が中高齢の女性を中心に目立つようになっている。少数例では皮膚疾患, リンパ節炎や全身 播種型などの肺外疾患をおこすこともある。非定型抗酸菌は一般に毒力が弱く, 日和見感染症の起炎菌としての側面を有し, 肺に 基礎疾患を有するものや, 宿主の抵抗力の減弱にともなって発症することが多い。
 細胞性免疫能の低下しているAIDS患者では, 結核のみならず, 全身播種型の M.acium complex 感染症や時には M.kansasii 感染症などの抗酸菌症が致命的な合併症となることが知られているが, 1990年代に入って, 欧米各国ではAIDS患者の増加にともなって,  従来症例報告の少なかった M.haemophilum などの感染症が多くなり, 今後増加する(emerging pathogen)として注目されている。さら にこれまで知られていなかった新菌種による感染症例の報告が相次いでおり, なかでも M.genavense, および M.celatum が注目すべき菌 種である3)。




2.わが国における非定型抗酸菌症の現況
 国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班など73施設についての調査によれば5), 肺非定型抗酸菌症の 年間発生率は人口10万対1.5−2.5で1985−1992年の間増加傾向にある。また, 肺結核患者の減少にともなって抗酸菌症中の非定型 抗酸菌症の占める比率は上昇しつつあり, 1992年には, これらの施設に年々新たに入院する抗酸菌陽性患者の中に非定型抗酸菌症 患者の占める比率は16%に達している。
 菌種別で最も重要なものは, M.avium complex 感染症で, 全非定型抗酸菌症の70%を占めている。近畿地方を含めた東日本 では M.avium 感染症が多く, 西日本では M.intracellulare 感染症が多い。また, AIDS 患者においては M.avium による全身播種型感染症が多い。非定型抗酸菌症の中で次に重要なものは, M.kansasii 感染症で, 最近, 発生率が増加して 全非定型抗酸菌症の20%に達し, 以前は東京およびその周辺に限られていた発生が全国に及んでいる。また, M.scrofulaceum, M.szulgai, M.nonchromogenicum, M.fortuitum, M.chelonae, M.abscessus, M.xenopi などによる感染症が出現ないし増加し, 非定型抗酸菌症の多様化がみられてい る 5)6)。さらに新しい菌種についての留意も必要である。

3.非定型抗酸菌の分離同定上の注意
 病的材料からの非定型抗酸菌の分離は, 結核菌の分離培養に準じ, 小川培地を用いて行われるが, 最近は液体培地, なかんず く蛍光発色によって抗酸菌を迅速に検出しうる「BBL TM MGIT TM 抗酸菌検出」による培養システムが, 従来の卵培地より, 検出率, 検出所要日数共に優れていることが明らかにされ, 検出まで の平均日数が7日となった 7) 8)。しかし, 排菌量の測定に問題が残っている。非定型抗酸菌は結核菌に 比してアルカリに弱いので, 前処置法として NALC-NaOH を用いることが推奨されている。
 AIDS患者では全身播種型の M.avium complex 感染症をおこすので, 不明熱が続く場合は, 喀痰のみでなく, 血液培養や便の 培養を頻回に行うべきで, 肝生検や骨髄生検もその診断に有用である。
 非定型抗酸菌には至適発育温度が37℃より高い菌種, 低い菌種があるため, 治療前に塗抹陽性培養陰性の場合は, M.xenopi では 43-45℃, M.marinum, M.chelonae では 28-33℃ で分離を試みる必要がある。皮膚感染を疑う場合は, 培養温度を28℃と 37℃の2種類用いる。
 孵卵器の扉を開けたままにして, 培養株を長く光にあてると, 光発色菌が発色して判定を誤ることがあるので注意する。
 培養した菌は?抗酸菌であることの確認, ?抗酸菌の同定の順で検査を行う。?抗酸菌であることの確認は, Ziehl-Neelsen 染色で行い, 蛍光法のみでは不十分である。?抗酸菌の同定は, まず結核菌群および M.avium complex 鑑別同定用キットである 「アキュプロ−ブ結核菌群同定」および「アキュプロ−ブ マイコバクテリウム アビウム コンプレックス」を用いて, いずれ の菌であるかの決定を行う。これらのキットのいずれとも反応しない菌株は「DDH マイコバクテリア極東」, さらには従来より使用 されている生化学反応を主体とした簡易同定キットである「極東抗酸菌鑑別セット」を用いて菌を同定する。簡易同定キットは同定 キットに指示された反応がすべて適合する場合にのみ同定結果を信用する。上述した方法によっても同定不可能な場合には, 専門 施設に同定を依頼することが望ましい

4.非定型抗酸菌症の診断基準
 本症の診断基準には日比野・山本の診断基準9)(それを改良した非定型抗酸菌症研究協議会の診断基準10)) および国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班の診断基準11))がある。前者が満たされれば 確実に本症と診断しうるが, 厳格過ぎるきらいがあり, 本症を見逃さないためには後者が便利である。診断基準は M.avium complex 感染症について検討されたもので, M.kansasii 感染症では菌が 複数回検出されれば, 集落数を問わず感染症例としてよい。これらは主に非定型抗酸菌の検出回数および排菌量を判定基準とし,  抗酸菌症と一過性の分離との鑑別を行うことを主眼としたものである。しかし, 画像診断および分離同定法の発展, 気管支ファイ バ−スコ−プの普及に伴う検体採取法の進歩により, 従来の診断基準では当てはまらない初期の非定型抗酸菌症が注目されており,  この点を考慮した American Thoracic Society の診断基準3)にしめす。




5.非定型抗酸菌症の治療
 非定型抗酸菌症の標準的な化学療法の方式は確立されておらず, 経験的に抗結核薬を中心とした多剤併用療法が行われている。 また, 結核菌に対する薬剤感受性検査法をそのまま非定型抗酸菌に適応することには問題があり, その薬剤感受性検査法の確立 および各薬剤の臨床的有効性の評価が急務である。米国では M.avium complex 感染症に対するクラリスロマイシン(CAM) および M.kansasii 感染症に対するリファンピシン(RFP) の薬剤感受性検査以外の非定型抗酸菌に対する各種薬剤の薬剤感受性検査の臨床 的意義を疑問視する意見もある3)。
 非定型抗酸菌のうち, 薬剤感受性を示す M.kansasii, M.szulgai 感染症の治療は比較的容易であるが, 薬剤感受性に乏しい M.avium complex, M.fortuitum, M.scrofulaceum, M.chelonae 感染症の治療は困難なことが多い。
 ニュ−キノロンやニュ−マクロライドの一部が数種の非定型抗酸菌の発育を阻止することが知られるようになり, 治療薬として 考えられている。
 隔離のためのみの入院は必要ないが, 重症例の治療, 合併症の治療,  多剤併用療法の副作用の監視などのために入院が必 要な場合もある。
1)M.avium complex 感染症
 ストレプトマイシン(SM), カナマイシン(KM), エンビオマイシン(EVM), のうち1薬の注射に, エタンブト−ル(EB), RFPを 加えた3薬, あるいはこれにイソニコチン酸ヒドラジド(INH)を加えた4薬併用が一般的である(米国では 近年 INH の効果に疑問を抱く研究者もある)12) 13)。最近わが国でもCAMの1日600?以上をこれ らに加えると難治例にもある程度有効との成績が得られている14)。また国療共同研究班の中間 報告によれば, CAM を主薬として2〜3薬の抗結核薬との併用療法で, 早期例の多い初回治療では約 80% の症例が排菌陰性化し,  2年後でもその効果が持続しているとする成績が得られている15)。しかし, CAM は現時点では 非定型抗酸菌症に対する健康保険の適応は認められていない。これらに反応しない場合には, シプロフロキサシン(CPFX), スパ ルフロキサシン(SPFX)やレボフロキサシン(LVFX)などのニュ−キノロン, エチオナミド(TH), サイクロセリン(CS), アミカシン (AMK)などを加える。ニュ−キノロンとAMKも非定型抗酸菌症に対する健康保険の適応は認められていない。
 米国ではCAM(500?×2回/日), RFP(600?), EB(最初2か月は25?/?, 以後15?/?), さらに 患者が耐え得れば SM(最初の8週間2〜3回)を加えることを推奨している3)。CAM のか わりにアジスロマイシン (AZM) , RFP のかわりにリファブチン (RBT) を使用してもよいとしているが, これらの薬剤は現在の ところ, わが国では入手できない。
 化学療法は初回治療および悪化時に強力に行う。菌陰性化が9か月〜1年以上も持続すれば, 治療を中止して最初の1年間は慎重 に再排菌の有無を観察する。その後も定期的な観察を持続する。
 少量排菌や間欠排菌の場合は, 胸部X線所見の悪化がなければ化学療法を行わず経過を観察してもよいとの考えもあるが, これ らの例からしばしば悪化・進展がみられるので, 注意深く観察し, 悪化がみられれば強力に治療する。たとえ菌陰性化はしなく とも, 大量排菌が微量化すれば有効と考えてよい。
 菌の陰性化が得られず, 排菌が持続する場合, X線所見で悪化が持続しなければ, 排菌があるというだけで副作用の強い化学 療法を長期に漫然と続けるべきでない。ただし大量排菌の持続する例では, 無効として治療を中止すると, しばしば悪化すること がある。
 外科療法は, ?大量排菌が持続しており, ?X線所見にしばしば悪化が見られ, ?病巣が限局性であり, ?比較的若年で肺機能 からみて手術に耐えうるものが適応となる。これらの適応に合致する症例であれば, 術後合併症も少なく, 術後の菌陰性化率も高 い16) とされている。化学療法による菌陰性化は通常6カ月以内のことが多いので, この期間で 菌陰性化が得られず, 上記の条件を満たせば外科療法を考慮する。
 本症には日和見感染の傾向があるので, 宿主の抵抗力の増強に努める必要があり, 栄養の補給, 合併症の治療を行う。発熱,  咳, 痰, 食欲不振などに対する対症療法, 混合感染に対する一般抗菌薬投与も必要である。
 AIDSに合併する播種型の M.avium complex 感染症の治療には, 米国では CAM(500?×2回/日)または AZM (250?-500?/日) , EB(最初2カ月は25?/?, 以後15?/?)に RBT(300?)を加える生涯治療を推奨し, AIDS で CD4 が50以下になった場合 は, CAM(500?×2回/日)あるいは RBT(300?毎日), または AZM(週1回1200?)の単独あるいは RBT と AZM の併用による 予防内服を生涯ないし発病するまで行うことを推奨している3) が, わが国での経験は乏しい。な お CAM 単独の予防内服では発病者の 28-50%が CAM 耐性となるが, RBT, AZM では耐性獲得の頻度が低いとされている。
2)M.kansasii 感染症
 M.kansasii は INH, RFP, TH, CS, EB, CPFX, SPFX, LVFX, CAM, ST 合剤などに感受性があり, INH, RFP, EB の3剤併用が 有効で, ほとんどの症例で菌陰性化を期待しうる17)。 PZA には感受性がない。結核で行われている短期 化学療法も試みられているが, 治療期間は12(〜18)カ月とすることが望ましい。副作用などで TH 使用不能例や RFP 耐性例など ではニュ−キノロン, CAM, サルファメトキサゾ−ル,  ST 合剤をしようする18)〜21)。 米国でも INH(300?), RFP(600?), EB(最初2カ月は25?/?, 以後15?/?)を推奨している。
3)M.szulgai 感染症 M. xenopi 感染症
 これらの菌種には RFP, TH, EB および SM, KM, EVM に感受性を示すものが多く,  RFP, EB , に SM または TH を加えて治療す れば, 菌陰性化を期待しうる22)〜24) 。
4)M.fortuitum 感染症, M.abscessus 感染症, M.chelonae 感染症
 M.fortuitum には AMK, ニュ−キノロン, テトラサイクリン系薬剤(ミノサイクリン, ドキシサイクリン)に感受性があること があり, これらの薬剤が使用されている25) 26)。
 M.abscessus は CAM 以外の経口薬に感受性がなく, AMK, イミペネム, セフォキシチンの注射や症例により外科的切除も試みら れている27)。
 M.chelonae は, トブラマイシン, AMK, エリスロマイシン28) 以外に, CPFX にもかなり感受性がある28)。
 上記3菌種には CAM も有効といわれている。
5)その他の菌種による感染症
 M.scrofulaceum には感性薬がほとんどないが, そのなかでも比較的有効と思われる KM, RFP, EB または RFP, TH, EVM の組合せ を試みる。
 M.nonchromogenicum には EB, RFP, TH に感受性を示すものがあり, これらを組合せて治療し29) , さらに両感染症ともに CAM も組み合わせる。



脚注1.
 M.kansasii 感染症については, M.kansasii より作られた PPD を用いたツ反応の陽性率が, 多数の人と接触する階層に 高いこと, およびわが国における感染症の発生の状況から, 一定の条件の下ではヒトからヒトへの感染の可能性も否定しえないと の考えかたもある。
脚注2.
 M.avium とM.intracellulare は性状が類似しており, これらを一括して M.avium - M.intracellulare complex あるいは M.avium complex (MACと略することもある)とよぶことが多い。



文 献
1)日本結核病学会治療委員会:非定型抗酸菌の治療に関する見解.結核.1987;62:77-80.
2)斎藤肇:抗酸菌の分類に関する最近の知見.臨床と細菌.1978;5:363-367.
3)American Thoracic Society:Diagnosis and treatment of diseases caused by nontuberculous mycobacteria.Am J Respir Crit Care Med.1997;
156:s1-s25.
4)田中栄作, 網谷良一, 久世文幸:M.avium complex 症の臨床.結核.1993;68:57-62.
5)坂谷光則:非定型抗酸菌の疫学.日本胸部疾患学会雑誌 1994;32(増刊号):211-215.
6)国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班:日本における非定型抗酸菌感染症の研究(国立療養所非定型抗酸菌症共同 研究班 1983 年度報告.結核.1985;60:299-318.
7)斎藤肇, 柏原嘉子, 佐藤紘二, 他:Mycobacteria Growth Indicater Tube (MGIT) による抗酸菌の迅速検出法.結核. 1996;71:399-405.
8)Ichiyama S, Iinuma Y, Yamori S, et al.:Mycobacterium Growth Indicator Tube testing in conjunction with the AccuProbe ro the AMPLICOR-PCR assay for detecting and identifying Mycobacteria from sputum samples.J Clin Microbiol. 1997;35:2022-2025.
9)Yamamoto M, Ogura Y, Sudo K, et al.:Diagnostic criteria for diseases caused by atypical mycobacteria. Am Rev Resp Dis, 1967;96:773-778.
10)非定型抗酸菌症研究協議会:肺非定型抗酸菌症診断基準についての提案.結核.1976;51:61.
11)国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班:非定型抗酸菌症(肺感染症)の診断基準.結核.1985;60:51.
12)喜多舒彦:非定型抗酸菌症の化学療法−特に M.intracellulare 症を中心として−.結核.1979;54:543-546.
13)久世文幸, 桜井信男, 荻野文章, 他:Mycobacterium avium-intracellulare に対する抗結核薬併用効果の小川培地 による検討.結核.1986;61:341-349.
14)山本正彦, 久世文幸, 斎藤肇, 他:Mycobacterium avium-intracellulare 肺感染症に対する Clarithromycin の 臨床的検討.結核.1997;72:1-7.
15)坂谷光則:非定型抗酸菌症の疫学と臨床(第73回日本結核病学会教育講演.新潟)1998 ; 73 : 150
16)古賀良平:肺非定型抗酸菌症外科療法の適応検討と反省.日本胸部臨床.1985;44:883-892.
17)下出久雄:非定型抗酸菌症の臨床的研究.第16報.17年間の国立療養所東京病院における Mycobacterium kansasii 症の臨床経験.日本胸部臨床.1984;43:925-932.
18)Ahn CH, Wallace RJ Jr, Steele LC, et al.:Sulfonamide-containing regimen for disease caused by rifampicin resistant Mycobacterium Kansasii, Am Rev Respir Dis.1987;135:10-16.
19)束村道雄, 水野松司, 外山春男:Ofloxacin, Ciprofloxacin および Norfloxacin の抗酸菌発育阻止作用の比較. 結核.1986;61:453-459.
20)斎藤肇, 佐藤勝昌, 冨岡治明, 他:諸種抗酸菌に対する norfloxacin, ofloxacin 及び ciprofloxacin の in vitro 並びに in vivo 抗菌活性.結核.1987;62:287-294.
21)下出久雄, 土井教生, 大塚義郎, 他:非定型抗酸菌症の臨床的研究, 第18報, ofloxacin による M.fortuitum 呼吸器感染症の治療成績.日本胸部臨床.1989;48:383-388.
22)下出久雄, 浦上栄一, 千葉胤夫:非定型抗酸菌症の臨床的研究.第12報.Mycobacterium szulgai による肺感染 症と診断上の問題点について.日本胸部臨床.1981;40:131-137.
23)Banks J, Hunter AM, Campbell IA, et al.:Pulmonary infection with Mycobacterium xenopi:review of treatment and response. Thorax. 1984;39:376-382.
24)寺島毅, 梅田啓, 坂巻文雄, 他:Mycobacterium xenopi 肺感染症の1例.結核.1993;68:653-656.
25)国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班:Mycobacterium fortuitum および Mycobacterium chelonae による肺感染症. 結核.1985;60:429-434.
26)Wallace RJ Jr, Brown BA, Onyi GO:Susceptibilities of Mycobacterium fortuitum biovar.fortuitum and the two subgroups of Mycobacterium chelonae to imipenem, cefmetazole, cefoxitin, and amoxicillin-clavulanic acid.Antimicrob Agents Chemother.1991;35:
773-775.
27)Griffith DE, Girard WM, Wallace RJ Jr:Clinical features of pulmonary disease caused by rapidly growing mycobacteria:an analysis of 154 patients.Am Rev Respir Dis.1993;147:1271-1278.
28)Swenson JM, Wallace RJ Jr, Silcox VA, et al.:Antimicrobial susceptibility of five subgroups of Mycobacterium fortuitum and Mycobacterium chelonae, Antimicrob Agents Chemother.1985;28:807-811.
29)喜多舒彦, 松田良信, 長坂行雄, 他:Mycobacterium nonchromogenicum による肺感染症.結核.1984;59:261-262.






日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会
委 員 長 山本 正彦
委  員 荒井 秀夫  河原   伸  岸 不盡彌  倉島 篤行  近藤 有好
坂谷 光則  佐藤 滋樹   原   耕平  水谷 清二

特別委員 一山   智  喜多 舒彦  久世 文幸  斎藤   肇  下出 久雄



(出典:結核.Vol.73, No.10: 599-605. 1998)


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肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針-2008年 です。
肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針-2008年
  平成20年4月      


日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会
 [はじめに]
 米国胸部学会(ATS)と米国感染症学会(IDSA)は10年ぶりに肺非結核性抗酸菌症に関するガイドラインの改定を 行ない,2007年3月に発表した。

1) 日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会は,この改定内容が大幅なものであり,かつ国際的整合性の見地から,わが国の診断基準(2003年発表)2)も、再検討の要ありとし,日本結核病学会評議員にアンケート調査を 行なった。回答者全員(回収率63%,126名)が改定の必要を認め,かつ簡潔な診断基準への要望が多数あった。
 
以上の経過で作業を開始,今回初めて日本結核病学会,日本呼吸器学会合同での肺非結核性抗酸菌症診断基準とした。

[注記]
1.近年のわが国での健診や人間ドックでの状況下では,画像診断や核酸同定法などの進歩で,臨床症状出現前 に診断可能になったという現状に即し,診断基準から「臨床症状あり」を外した。

2.従来の診断基準では,暗黙に診断基準合致を治療開始時期と見なしてきたが,2007-ATS/IDSAと同様,診断 基準と治療開始時期は分離する。

3.治療開始時期についてはエビデンス蓄積が不十分であるが,診断後観察のみの経過では外科治療を含む早期 治療,準治癒状態への転帰を失う事例があることを注意すべきである。

4.2007-ATS/DISA基準でのHRCT所見は「散布性小結節を伴う多発性の気管支拡張所見」のみになっているが,
早期診断や化学療法開始後の症例,孤立結節影などを考慮し,より広範囲な事象に適応しうる画像基準とした。

5.感染症診断の原則から,典型例であっても画像所見のみでの診断は採用しない。また画像所見が酷似してい ても,非結核性抗酸菌症ではない場合があることに注意すべきである。

6.喀痰の場合,2回以上の異なった検体での培養陽性としたのは1991年の束村の研究3)に準拠するとともに,
2007-ATS/IDSA基準との整合性をとるためである。

表1.肺非結核性抗酸菌症の診断基準
(日本結核病学会・日本呼吸器学会基準)
臨床的基準(以下の2項目を満たす)

1.胸部画像所見(HRCTを含む)で,結節性陰影,小結節性陰影や分枝状陰影の散布,均等性陰影,
  空洞性陰影,気管支または細気管支拡張所見のいずれか(複数可)を示す。
  但し,先行肺疾患による陰影が既にある場合は,この限りではない。

2.他の疾患を除外できる。
細菌学的基準(菌種の区別なく,以下いずれか1項目を満たす)

1.2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性。

2. 1回以上の気管支洗浄液での培養陽性。

3. 経気管支肺生検または肺生検組織の場合は,抗酸菌症に合致する組織学的所見と同時に組織,または気管支洗浄液,または喀痰での1回以上の培養陽性。

4.稀な菌種や環境から高頻度に分離される菌種の場合は,検体種類を問わず2回以上の培養陽性と菌種同定検査を原則とし,専門家の見解を必要とする。  

以上のA,Bを満たす。



表2.わが国でヒト感染症が報告されている非結核性抗酸菌

しばしば認められる菌種
M.avium, M.intracellulare , M.kansasii, M.abscessus,

比較的稀に認められる菌種
M.fortuitum, M.chelonae, M.szulgai, M.xenopi, M.nonchromogenicum, M.terrae, M.scrofulaceum,
M.gordonae, M.simiae, M.thermoresistible, M.heckeshornense, M.intermedium, M.lentiflavum,
M.ulceranssubsp. shinshuense, M.malmoense, M.celatum, M.branderi, M.genavense, M.haemophilum, M.triplex, M.goodii, M.marinum, M.mageritense, M.mucogenicum, M.peregrinum
注:M.avium, M.intracellulareは性状が類似しており,一括してM.avium complex (MAC)と呼ぶことが多い


7.塗抹,培養を含む菌量要件を廃止したのは,やはり2007-ATS/IDSA基準との整合性のためと,菌量をそのもの は非結核性抗酸菌の場合,特に前処理による影響が大きいこと,液体培地の普及で培養菌量報告がないことを 考慮したためである(本来,抗酸菌培養は1997ATS勧告どおり,液体培地と固形培地を併用すべきであるが, 臨床の実態に即してという条件付きの考慮)。

8.検体直後核酸増幅法陽性は菌種同定に有用であるが,培養陽性の代わりにはならない。

9.細菌学的基準の中に稀な菌種の場合の要件を記載したので,2007-ATS/IDSA基準と異なり細菌学的基準その ものは菌種の区別なく適用とした。

10. 気管支鏡検体は自動洗浄機汚染などの場合影響が大きいので,
呼吸器内視鏡学会ガイドライン4)に沿った気管支鏡消毒操作を遵守すべきである。

11. 気管支,あるいは病巣由来以外の検体については,基本的に通常無菌的な体腔液を用いるべきである。
胃液は結核症診断では明らかに有用な検体であるが,消化管液に常在している可能性の高い非結核性抗酸菌症 診断での有用性は確証されていない。当面最低限「2回以上の異なった検体での培養陽性」の条件を満たすべきである。

12.菌種同定は,保険診療も考慮し2回とも同定検査施行を条件にはしないが,稀な菌種や環境から高頻度に分離 される菌種の場合(M.gordonae, M.chelonae, など)は2回以上の菌種同定検査を必要とする。


文献
1)Griffith DE, Aksamit T, Brown-Elliott BA, et al., on behalf of the ATS Mycobacterial Diseases Subcommittee:
An Official ATS/IDSA Statement: Diagnosis, Treatment, and Prevention of Nontuberculous Mycobacterial Disease.
Am J Respir Crit Care Med. 2007; 175: 367-416.

2)日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会:肺非結核性抗酸菌症診断に関する見解-2003年
2003;78:569-572.

3)Tsukamura M: Diagnosis of disease caused by Mycobacterium avium camplex. Chest. 1991;99:667-669.

4)日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡安全対策委員会:気管支鏡検査を安全に行うために.気管支学.2005;27:388-390.

日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会
委員長 倉島 篤行
副委員長 鈴木 克洋
委 員 網島 優
大内 基史 小川 賢二 加治木 章
桑原 克弘 白石 裕治 多田 敦彦 徳島 武
中島 由槻 長谷川直樹 藤田 明 本間 光信
(出典:結核.Vol.83,No7:525-526. 2008)



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肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針-2008年です。
肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針-2008年
  平成20年4月      


日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会
 [はじめに]
 米国胸部学会(ATS)と米国感染症学会(IDSA)は10年ぶりに肺非結核性抗酸菌症に関するガイドラインの改定を 行ない,2007年3月に発表した。

1) 日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会は,この改定内容が大幅なものであり,かつ国際的整合性の見地から,わが国の診断基準(2003年発表)2)も、再検討の要ありとし,日本結核病学会評議員にアンケート調査を 行なった。回答者全員(回収率63%,126名)が改定の必要を認め,かつ簡潔な診断基準への要望が多数あった。
 
以上の経過で作業を開始,今回初めて日本結核病学会,日本呼吸器学会合同での肺非結核性抗酸菌症診断基準とした。

[注記]
1.近年のわが国での健診や人間ドックでの状況下では,画像診断や核酸同定法などの進歩で,臨床症状出現前 に診断可能になったという現状に即し,診断基準から「臨床症状あり」を外した。

2.従来の診断基準では,暗黙に診断基準合致を治療開始時期と見なしてきたが,2007-ATS/IDSAと同様,診断 基準と治療開始時期は分離する。

3.治療開始時期についてはエビデンス蓄積が不十分であるが,診断後観察のみの経過では外科治療を含む早期 治療,準治癒状態への転帰を失う事例があることを注意すべきである。

4.2007-ATS/DISA基準でのHRCT所見は「散布性小結節を伴う多発性の気管支拡張所見」のみになっているが,
早期診断や化学療法開始後の症例,孤立結節影などを考慮し,より広範囲な事象に適応しうる画像基準とした。

5.感染症診断の原則から,典型例であっても画像所見のみでの診断は採用しない。また画像所見が酷似してい ても,非結核性抗酸菌症ではない場合があることに注意すべきである。

6.喀痰の場合,2回以上の異なった検体での培養陽性としたのは1991年の束村の研究3)に準拠するとともに,
2007-ATS/IDSA基準との整合性をとるためである。

表1.肺非結核性抗酸菌症の診断基準
(日本結核病学会・日本呼吸器学会基準)
臨床的基準(以下の2項目を満たす)

1.胸部画像所見(HRCTを含む)で,結節性陰影,小結節性陰影や分枝状陰影の散布,均等性陰影,
  空洞性陰影,気管支または細気管支拡張所見のいずれか(複数可)を示す。
  但し,先行肺疾患による陰影が既にある場合は,この限りではない。

2.他の疾患を除外できる。
細菌学的基準(菌種の区別なく,以下いずれか1項目を満たす)

1.2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性。

2. 1回以上の気管支洗浄液での培養陽性。

3. 経気管支肺生検または肺生検組織の場合は,抗酸菌症に合致する組織学的所見と同時に組織,または気管支洗浄液,または喀痰での1回以上の培養陽性。

4.稀な菌種や環境から高頻度に分離される菌種の場合は,検体種類を問わず2回以上の培養陽性と菌種同定検査を原則とし,専門家の見解を必要とする。  

以上のA,Bを満たす。



表2.わが国でヒト感染症が報告されている非結核性抗酸菌

しばしば認められる菌種
M.avium, M.intracellulare , M.kansasii, M.abscessus,

比較的稀に認められる菌種
M.fortuitum, M.chelonae, M.szulgai, M.xenopi, M.nonchromogenicum, M.terrae, M.scrofulaceum,
M.gordonae, M.simiae, M.thermoresistible, M.heckeshornense, M.intermedium, M.lentiflavum,
M.ulceranssubsp. shinshuense, M.malmoense, M.celatum, M.branderi, M.genavense, M.haemophilum, M.triplex, M.goodii, M.marinum, M.mageritense, M.mucogenicum, M.peregrinum
注:M.avium, M.intracellulareは性状が類似しており,一括してM.avium complex (MAC)と呼ぶことが多い


7.塗抹,培養を含む菌量要件を廃止したのは,やはり2007-ATS/IDSA基準との整合性のためと,菌量をそのもの は非結核性抗酸菌の場合,特に前処理による影響が大きいこと,液体培地の普及で培養菌量報告がないことを 考慮したためである(本来,抗酸菌培養は1997ATS勧告どおり,液体培地と固形培地を併用すべきであるが, 臨床の実態に即してという条件付きの考慮)。

8.検体直後核酸増幅法陽性は菌種同定に有用であるが,培養陽性の代わりにはならない。

9.細菌学的基準の中に稀な菌種の場合の要件を記載したので,2007-ATS/IDSA基準と異なり細菌学的基準その ものは菌種の区別なく適用とした。

10. 気管支鏡検体は自動洗浄機汚染などの場合影響が大きいので,
呼吸器内視鏡学会ガイドライン4)に沿った気管支鏡消毒操作を遵守すべきである。

11. 気管支,あるいは病巣由来以外の検体については,基本的に通常無菌的な体腔液を用いるべきである。
胃液は結核症診断では明らかに有用な検体であるが,消化管液に常在している可能性の高い非結核性抗酸菌症 診断での有用性は確証されていない。当面最低限「2回以上の異なった検体での培養陽性」の条件を満たすべきである。

12.菌種同定は,保険診療も考慮し2回とも同定検査施行を条件にはしないが,稀な菌種や環境から高頻度に分離 される菌種の場合(M.gordonae, M.chelonae, など)は2回以上の菌種同定検査を必要とする。


文献
1)Griffith DE, Aksamit T, Brown-Elliott BA, et al., on behalf of the ATS Mycobacterial Diseases Subcommittee:
An Official ATS/IDSA Statement: Diagnosis, Treatment, and Prevention of Nontuberculous Mycobacterial Disease.
Am J Respir Crit Care Med. 2007; 175: 367-416.

2)日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会:肺非結核性抗酸菌症診断に関する見解-2003年
2003;78:569-572.

3)Tsukamura M: Diagnosis of disease caused by Mycobacterium avium camplex. Chest. 1991;99:667-669.

4)日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡安全対策委員会:気管支鏡検査を安全に行うために.気管支学.2005;27:388-390.

日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会
委員長 倉島 篤行
副委員長 鈴木 克洋
委 員 網島 優
大内 基史 小川 賢二 加治木 章
桑原 克弘 白石 裕治 多田 敦彦 徳島 武
中島 由槻 長谷川直樹 藤田 明 本間 光信
(出典:結核.Vol.83,No7:525-526. 2008)



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非定型抗酸菌症の治療に関する見解です。(少し古くなりますが)
非定型抗酸菌症の治療に関する見解
非定型抗酸菌症対策委員会報告

  
 日本結核病学会治療委員会は1987年に「非定型抗酸菌症の治療に関する見解」を発表したが1)、 本委員会は, 最近の10年間の非定型抗酸菌症に関する研究の進歩を踏まえて, 「非定型抗酸菌症の治療に関する見解ー1998年」を 公表することとした。

  

1.概  説
 非定型抗酸菌とは, 抗酸菌の中で結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex : M.tuberculosis および,  これと類似の M.bovis, M.africanum, M.microti を一括)を除く培養可能な抗酸菌を一括した呼称であり, それによる感染症は 非定型抗酸菌症と呼ばれている。
 非定型抗酸菌は atypical mycobacteria の邦訳であり, 外国では atypical と言う表現は必ずしも適当でないとして, nontuber culous mycobacteria と呼ばれることが多くなり, わが国でも専門家の間では非結核性抗酸菌の名称が使われるようになった。しか し, 一般には非定型抗酸菌が慣用的に使われており, 本委員会の名称も非定型抗酸菌症対策委員会であること, 厚生省の定めてい る結核の活動性分類にも非定型抗酸菌の名称が使用されているため, 本委員会では非定型抗酸菌の名称を使用することとする。
 非定型抗酸菌は Runyon により?〜?群に大別されているが, 最近では臨床上遭遇する大多数の菌を一定の菌種(species)に鑑別・ 同定出来るので 2) 3) , それぞれの菌を菌種名で呼び, それによる疾患もその菌種名を附し た感染症(例えば M.kansasii 感染症)と呼ぶのが正しい。
 これらの菌は塵埃, 土壌, 水などの自然界に由来すると考えられており, 患者家族や大量排菌者との接触者からの発病例がほと んどないことから, ヒトからヒトへの感染は無視しうると考えられている(脚注1)。
 非定型抗酸菌症のほとんどは肺疾患であり, 肺結核類似の有空洞の肺感染症をおこす。M.avium complex(脚注2)感染症では,  その早期像として中下肺野の多発性の小結節や気管支拡張像が注目されており3) 4), これらから 進展して慢性気道感染症の病像を呈する例が中高齢の女性を中心に目立つようになっている。少数例では皮膚疾患, リンパ節炎や全身 播種型などの肺外疾患をおこすこともある。非定型抗酸菌は一般に毒力が弱く, 日和見感染症の起炎菌としての側面を有し, 肺に 基礎疾患を有するものや, 宿主の抵抗力の減弱にともなって発症することが多い。
 細胞性免疫能の低下しているAIDS患者では, 結核のみならず, 全身播種型の M.acium complex 感染症や時には M.kansasii 感染症などの抗酸菌症が致命的な合併症となることが知られているが, 1990年代に入って, 欧米各国ではAIDS患者の増加にともなって,  従来症例報告の少なかった M.haemophilum などの感染症が多くなり, 今後増加する(emerging pathogen)として注目されている。さら にこれまで知られていなかった新菌種による感染症例の報告が相次いでおり, なかでも M.genavense, および M.celatum が注目すべき菌 種である3)。




2.わが国における非定型抗酸菌症の現況
 国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班など73施設についての調査によれば5), 肺非定型抗酸菌症の 年間発生率は人口10万対1.5−2.5で1985−1992年の間増加傾向にある。また, 肺結核患者の減少にともなって抗酸菌症中の非定型 抗酸菌症の占める比率は上昇しつつあり, 1992年には, これらの施設に年々新たに入院する抗酸菌陽性患者の中に非定型抗酸菌症 患者の占める比率は16%に達している。
 菌種別で最も重要なものは, M.avium complex 感染症で, 全非定型抗酸菌症の70%を占めている。近畿地方を含めた東日本 では M.avium 感染症が多く, 西日本では M.intracellulare 感染症が多い。また, AIDS 患者においては M.avium による全身播種型感染症が多い。非定型抗酸菌症の中で次に重要なものは, M.kansasii 感染症で, 最近, 発生率が増加して 全非定型抗酸菌症の20%に達し, 以前は東京およびその周辺に限られていた発生が全国に及んでいる。また, M.scrofulaceum, M.szulgai, M.nonchromogenicum, M.fortuitum, M.chelonae, M.abscessus, M.xenopi などによる感染症が出現ないし増加し, 非定型抗酸菌症の多様化がみられてい る 5)6)。さらに新しい菌種についての留意も必要である。

3.非定型抗酸菌の分離同定上の注意
 病的材料からの非定型抗酸菌の分離は, 結核菌の分離培養に準じ, 小川培地を用いて行われるが, 最近は液体培地, なかんず く蛍光発色によって抗酸菌を迅速に検出しうる「BBL TM MGIT TM 抗酸菌検出」による培養システムが, 従来の卵培地より, 検出率, 検出所要日数共に優れていることが明らかにされ, 検出まで の平均日数が7日となった 7) 8)。しかし, 排菌量の測定に問題が残っている。非定型抗酸菌は結核菌に 比してアルカリに弱いので, 前処置法として NALC-NaOH を用いることが推奨されている。
 AIDS患者では全身播種型の M.avium complex 感染症をおこすので, 不明熱が続く場合は, 喀痰のみでなく, 血液培養や便の 培養を頻回に行うべきで, 肝生検や骨髄生検もその診断に有用である。
 非定型抗酸菌には至適発育温度が37℃より高い菌種, 低い菌種があるため, 治療前に塗抹陽性培養陰性の場合は, M.xenopi では 43-45℃, M.marinum, M.chelonae では 28-33℃ で分離を試みる必要がある。皮膚感染を疑う場合は, 培養温度を28℃と 37℃の2種類用いる。
 孵卵器の扉を開けたままにして, 培養株を長く光にあてると, 光発色菌が発色して判定を誤ることがあるので注意する。
 培養した菌は?抗酸菌であることの確認, ?抗酸菌の同定の順で検査を行う。?抗酸菌であることの確認は, Ziehl-Neelsen 染色で行い, 蛍光法のみでは不十分である。?抗酸菌の同定は, まず結核菌群および M.avium complex 鑑別同定用キットである 「アキュプロ−ブ結核菌群同定」および「アキュプロ−ブ マイコバクテリウム アビウム コンプレックス」を用いて, いずれ の菌であるかの決定を行う。これらのキットのいずれとも反応しない菌株は「DDH マイコバクテリア極東」, さらには従来より使用 されている生化学反応を主体とした簡易同定キットである「極東抗酸菌鑑別セット」を用いて菌を同定する。簡易同定キットは同定 キットに指示された反応がすべて適合する場合にのみ同定結果を信用する。上述した方法によっても同定不可能な場合には, 専門 施設に同定を依頼することが望ましい

4.非定型抗酸菌症の診断基準
 本症の診断基準には日比野・山本の診断基準9)(それを改良した非定型抗酸菌症研究協議会の診断基準10)) および国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班の診断基準11))がある。前者が満たされれば 確実に本症と診断しうるが, 厳格過ぎるきらいがあり, 本症を見逃さないためには後者が便利である。診断基準は M.avium complex 感染症について検討されたもので, M.kansasii 感染症では菌が 複数回検出されれば, 集落数を問わず感染症例としてよい。これらは主に非定型抗酸菌の検出回数および排菌量を判定基準とし,  抗酸菌症と一過性の分離との鑑別を行うことを主眼としたものである。しかし, 画像診断および分離同定法の発展, 気管支ファイ バ−スコ−プの普及に伴う検体採取法の進歩により, 従来の診断基準では当てはまらない初期の非定型抗酸菌症が注目されており,  この点を考慮した American Thoracic Society の診断基準3)にしめす。




5.非定型抗酸菌症の治療
 非定型抗酸菌症の標準的な化学療法の方式は確立されておらず, 経験的に抗結核薬を中心とした多剤併用療法が行われている。 また, 結核菌に対する薬剤感受性検査法をそのまま非定型抗酸菌に適応することには問題があり, その薬剤感受性検査法の確立 および各薬剤の臨床的有効性の評価が急務である。米国では M.avium complex 感染症に対するクラリスロマイシン(CAM) および M.kansasii 感染症に対するリファンピシン(RFP) の薬剤感受性検査以外の非定型抗酸菌に対する各種薬剤の薬剤感受性検査の臨床 的意義を疑問視する意見もある3)。
 非定型抗酸菌のうち, 薬剤感受性を示す M.kansasii, M.szulgai 感染症の治療は比較的容易であるが, 薬剤感受性に乏しい M.avium complex, M.fortuitum, M.scrofulaceum, M.chelonae 感染症の治療は困難なことが多い。
 ニュ−キノロンやニュ−マクロライドの一部が数種の非定型抗酸菌の発育を阻止することが知られるようになり, 治療薬として 考えられている。
 隔離のためのみの入院は必要ないが, 重症例の治療, 合併症の治療,  多剤併用療法の副作用の監視などのために入院が必 要な場合もある。
1)M.avium complex 感染症
 ストレプトマイシン(SM), カナマイシン(KM), エンビオマイシン(EVM), のうち1薬の注射に, エタンブト−ル(EB), RFPを 加えた3薬, あるいはこれにイソニコチン酸ヒドラジド(INH)を加えた4薬併用が一般的である(米国では 近年 INH の効果に疑問を抱く研究者もある)12) 13)。最近わが国でもCAMの1日600?以上をこれ らに加えると難治例にもある程度有効との成績が得られている14)。また国療共同研究班の中間 報告によれば, CAM を主薬として2〜3薬の抗結核薬との併用療法で, 早期例の多い初回治療では約 80% の症例が排菌陰性化し,  2年後でもその効果が持続しているとする成績が得られている15)。しかし, CAM は現時点では 非定型抗酸菌症に対する健康保険の適応は認められていない。これらに反応しない場合には, シプロフロキサシン(CPFX), スパ ルフロキサシン(SPFX)やレボフロキサシン(LVFX)などのニュ−キノロン, エチオナミド(TH), サイクロセリン(CS), アミカシン (AMK)などを加える。ニュ−キノロンとAMKも非定型抗酸菌症に対する健康保険の適応は認められていない。
 米国ではCAM(500?×2回/日), RFP(600?), EB(最初2か月は25?/?, 以後15?/?), さらに 患者が耐え得れば SM(最初の8週間2〜3回)を加えることを推奨している3)。CAM のか わりにアジスロマイシン (AZM) , RFP のかわりにリファブチン (RBT) を使用してもよいとしているが, これらの薬剤は現在の ところ, わが国では入手できない。
 化学療法は初回治療および悪化時に強力に行う。菌陰性化が9か月〜1年以上も持続すれば, 治療を中止して最初の1年間は慎重 に再排菌の有無を観察する。その後も定期的な観察を持続する。
 少量排菌や間欠排菌の場合は, 胸部X線所見の悪化がなければ化学療法を行わず経過を観察してもよいとの考えもあるが, これ らの例からしばしば悪化・進展がみられるので, 注意深く観察し, 悪化がみられれば強力に治療する。たとえ菌陰性化はしなく とも, 大量排菌が微量化すれば有効と考えてよい。
 菌の陰性化が得られず, 排菌が持続する場合, X線所見で悪化が持続しなければ, 排菌があるというだけで副作用の強い化学 療法を長期に漫然と続けるべきでない。ただし大量排菌の持続する例では, 無効として治療を中止すると, しばしば悪化すること がある。
 外科療法は, ?大量排菌が持続しており, ?X線所見にしばしば悪化が見られ, ?病巣が限局性であり, ?比較的若年で肺機能 からみて手術に耐えうるものが適応となる。これらの適応に合致する症例であれば, 術後合併症も少なく, 術後の菌陰性化率も高 い16) とされている。化学療法による菌陰性化は通常6カ月以内のことが多いので, この期間で 菌陰性化が得られず, 上記の条件を満たせば外科療法を考慮する。
 本症には日和見感染の傾向があるので, 宿主の抵抗力の増強に努める必要があり, 栄養の補給, 合併症の治療を行う。発熱,  咳, 痰, 食欲不振などに対する対症療法, 混合感染に対する一般抗菌薬投与も必要である。
 AIDSに合併する播種型の M.avium complex 感染症の治療には, 米国では CAM(500?×2回/日)または AZM (250?-500?/日) , EB(最初2カ月は25?/?, 以後15?/?)に RBT(300?)を加える生涯治療を推奨し, AIDS で CD4 が50以下になった場合 は, CAM(500?×2回/日)あるいは RBT(300?毎日), または AZM(週1回1200?)の単独あるいは RBT と AZM の併用による 予防内服を生涯ないし発病するまで行うことを推奨している3) が, わが国での経験は乏しい。な お CAM 単独の予防内服では発病者の 28-50%が CAM 耐性となるが, RBT, AZM では耐性獲得の頻度が低いとされている。
2)M.kansasii 感染症
 M.kansasii は INH, RFP, TH, CS, EB, CPFX, SPFX, LVFX, CAM, ST 合剤などに感受性があり, INH, RFP, EB の3剤併用が 有効で, ほとんどの症例で菌陰性化を期待しうる17)。 PZA には感受性がない。結核で行われている短期 化学療法も試みられているが, 治療期間は12(〜18)カ月とすることが望ましい。副作用などで TH 使用不能例や RFP 耐性例など ではニュ−キノロン, CAM, サルファメトキサゾ−ル,  ST 合剤をしようする18)〜21)。 米国でも INH(300?), RFP(600?), EB(最初2カ月は25?/?, 以後15?/?)を推奨している。
3)M.szulgai 感染症 M. xenopi 感染症
 これらの菌種には RFP, TH, EB および SM, KM, EVM に感受性を示すものが多く,  RFP, EB , に SM または TH を加えて治療す れば, 菌陰性化を期待しうる22)〜24) 。
4)M.fortuitum 感染症, M.abscessus 感染症, M.chelonae 感染症
 M.fortuitum には AMK, ニュ−キノロン, テトラサイクリン系薬剤(ミノサイクリン, ドキシサイクリン)に感受性があること があり, これらの薬剤が使用されている25) 26)。
 M.abscessus は CAM 以外の経口薬に感受性がなく, AMK, イミペネム, セフォキシチンの注射や症例により外科的切除も試みら れている27)。
 M.chelonae は, トブラマイシン, AMK, エリスロマイシン28) 以外に, CPFX にもかなり感受性がある28)。
 上記3菌種には CAM も有効といわれている。
5)その他の菌種による感染症
 M.scrofulaceum には感性薬がほとんどないが, そのなかでも比較的有効と思われる KM, RFP, EB または RFP, TH, EVM の組合せ を試みる。
 M.nonchromogenicum には EB, RFP, TH に感受性を示すものがあり, これらを組合せて治療し29) , さらに両感染症ともに CAM も組み合わせる。



脚注1.
 M.kansasii 感染症については, M.kansasii より作られた PPD を用いたツ反応の陽性率が, 多数の人と接触する階層に 高いこと, およびわが国における感染症の発生の状況から, 一定の条件の下ではヒトからヒトへの感染の可能性も否定しえないと の考えかたもある。
脚注2.
 M.avium とM.intracellulare は性状が類似しており, これらを一括して M.avium - M.intracellulare complex あるいは M.avium complex (MACと略することもある)とよぶことが多い。



文 献
1)日本結核病学会治療委員会:非定型抗酸菌の治療に関する見解.結核.1987;62:77-80.
2)斎藤肇:抗酸菌の分類に関する最近の知見.臨床と細菌.1978;5:363-367.
3)American Thoracic Society:Diagnosis and treatment of diseases caused by nontuberculous mycobacteria.Am J Respir Crit Care Med.1997;
156:s1-s25.
4)田中栄作, 網谷良一, 久世文幸:M.avium complex 症の臨床.結核.1993;68:57-62.
5)坂谷光則:非定型抗酸菌の疫学.日本胸部疾患学会雑誌 1994;32(増刊号):211-215.
6)国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班:日本における非定型抗酸菌感染症の研究(国立療養所非定型抗酸菌症共同 研究班 1983 年度報告.結核.1985;60:299-318.
7)斎藤肇, 柏原嘉子, 佐藤紘二, 他:Mycobacteria Growth Indicater Tube (MGIT) による抗酸菌の迅速検出法.結核. 1996;71:399-405.
8)Ichiyama S, Iinuma Y, Yamori S, et al.:Mycobacterium Growth Indicator Tube testing in conjunction with the AccuProbe ro the AMPLICOR-PCR assay for detecting and identifying Mycobacteria from sputum samples.J Clin Microbiol. 1997;35:2022-2025.
9)Yamamoto M, Ogura Y, Sudo K, et al.:Diagnostic criteria for diseases caused by atypical mycobacteria. Am Rev Resp Dis, 1967;96:773-778.
10)非定型抗酸菌症研究協議会:肺非定型抗酸菌症診断基準についての提案.結核.1976;51:61.
11)国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班:非定型抗酸菌症(肺感染症)の診断基準.結核.1985;60:51.
12)喜多舒彦:非定型抗酸菌症の化学療法−特に M.intracellulare 症を中心として−.結核.1979;54:543-546.
13)久世文幸, 桜井信男, 荻野文章, 他:Mycobacterium avium-intracellulare に対する抗結核薬併用効果の小川培地 による検討.結核.1986;61:341-349.
14)山本正彦, 久世文幸, 斎藤肇, 他:Mycobacterium avium-intracellulare 肺感染症に対する Clarithromycin の 臨床的検討.結核.1997;72:1-7.
15)坂谷光則:非定型抗酸菌症の疫学と臨床(第73回日本結核病学会教育講演.新潟)1998 ; 73 : 150
16)古賀良平:肺非定型抗酸菌症外科療法の適応検討と反省.日本胸部臨床.1985;44:883-892.
17)下出久雄:非定型抗酸菌症の臨床的研究.第16報.17年間の国立療養所東京病院における Mycobacterium kansasii 症の臨床経験.日本胸部臨床.1984;43:925-932.
18)Ahn CH, Wallace RJ Jr, Steele LC, et al.:Sulfonamide-containing regimen for disease caused by rifampicin resistant Mycobacterium Kansasii, Am Rev Respir Dis.1987;135:10-16.
19)束村道雄, 水野松司, 外山春男:Ofloxacin, Ciprofloxacin および Norfloxacin の抗酸菌発育阻止作用の比較. 結核.1986;61:453-459.
20)斎藤肇, 佐藤勝昌, 冨岡治明, 他:諸種抗酸菌に対する norfloxacin, ofloxacin 及び ciprofloxacin の in vitro 並びに in vivo 抗菌活性.結核.1987;62:287-294.
21)下出久雄, 土井教生, 大塚義郎, 他:非定型抗酸菌症の臨床的研究, 第18報, ofloxacin による M.fortuitum 呼吸器感染症の治療成績.日本胸部臨床.1989;48:383-388.
22)下出久雄, 浦上栄一, 千葉胤夫:非定型抗酸菌症の臨床的研究.第12報.Mycobacterium szulgai による肺感染 症と診断上の問題点について.日本胸部臨床.1981;40:131-137.
23)Banks J, Hunter AM, Campbell IA, et al.:Pulmonary infection with Mycobacterium xenopi:review of treatment and response. Thorax. 1984;39:376-382.
24)寺島毅, 梅田啓, 坂巻文雄, 他:Mycobacterium xenopi 肺感染症の1例.結核.1993;68:653-656.
25)国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班:Mycobacterium fortuitum および Mycobacterium chelonae による肺感染症. 結核.1985;60:429-434.
26)Wallace RJ Jr, Brown BA, Onyi GO:Susceptibilities of Mycobacterium fortuitum biovar.fortuitum and the two subgroups of Mycobacterium chelonae to imipenem, cefmetazole, cefoxitin, and amoxicillin-clavulanic acid.Antimicrob Agents Chemother.1991;35:
773-775.
27)Griffith DE, Girard WM, Wallace RJ Jr:Clinical features of pulmonary disease caused by rapidly growing mycobacteria:an analysis of 154 patients.Am Rev Respir Dis.1993;147:1271-1278.
28)Swenson JM, Wallace RJ Jr, Silcox VA, et al.:Antimicrobial susceptibility of five subgroups of Mycobacterium fortuitum and Mycobacterium chelonae, Antimicrob Agents Chemother.1985;28:807-811.
29)喜多舒彦, 松田良信, 長坂行雄, 他:Mycobacterium nonchromogenicum による肺感染症.結核.1984;59:261-262.






日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会
委 員 長 山本 正彦
委  員 荒井 秀夫  河原   伸  岸 不盡彌  倉島 篤行  近藤 有好
坂谷 光則  佐藤 滋樹   原   耕平  水谷 清二

特別委員 一山   智  喜多 舒彦  久世 文幸  斎藤   肇  下出 久雄



(出典:結核.Vol.73, No.10: 599-605. 1998)


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非結核性抗酸菌症って?/最近は中年女性に増加
非結核性抗酸菌症って?/最近は中年女性に増加

 1999年から非結核性抗酸菌症(非定型抗酸菌症)の治療をしています。最近では年に何回も血痰(けったん)を吐きます。止血剤を飲めば止まりますが、不安です。この病気について詳しく教えてください。 (福岡市西区、女性、70歳)


 ■福岡病院呼吸器科部長 野上 裕子氏

 酸に強い性質を持つ抗酸菌の中で、結核菌以外が起こす感染症を「非結核性抗酸菌症」と総称しています。主に肺を侵されるため、質問者のようにせきや痰(たん)のほか、微熱や体重減少などが典型的な症状です。

 この菌は土壌や水などに普通にいますが、結核菌と比べて毒性は弱く、人から人には感染しません。従来は、結核を以前に患った人が高齢になってかかる病気と考えられていました。

 しかし最近、健康な30−40代の女性でも発症する例が確認されており、患者数が急増しています。厚労省の統計でも、1971年には10万人当たりで0.89人だった発症者が、2003年では6.3人と7倍に増えています。この健康な中年女性の発症原因はまだ解明されていません。

 治療法は、菌の種類によって異なります。原因の15−20%を占める「カンサシー菌」の場合、結核用の薬が比較的効くので、3種類の薬を併用して1−2年で治すことも可能です。


 ところが、原因の70−80%に当たる「アヴィウム菌・イントラセルラーレ菌」の場合は、残念ながら薬があまり効きません。長ければ30年近くの療養もあり得ますが、病気の進行は遅いので、根気強く治療することが大切です。

 定期健診のエックス線検査で見つかる場合もあります。せきなどが長引くようならば、呼吸器科を受診することをお勧めします。(のがみ・ひろこ=福岡市南区)  西日本新聞朝刊より


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